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企業の海外進出は、いま本当に必要なの?

ブレない理念が、ブレない答えを導き、日本の未来を作る

  • 武田 斉紀

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2011年10月17日(月)

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台風15号が迫る中での事業所訪問

 少し前までは日本メーカーにとってあり得ない領域と思われた、1ドル70円台という超円高がすっかり定着してしまった。円安に転じる要因は見つからず、政府の政策にも決定打を期待できそうにない。さらにはユーロ危機やTPP(環太平洋経済連携協定)問題が不気味に迫っている。

 日本自動車工業会の志賀俊之会長(日産自動車最高執行責任者)は、「現状の円高は日本の実体経済を反映していない」「円高がこれだけ長期化していくと、生産は国内から海外に移っていくと判断せざるを得ない」との発言をした(日経QUICKニュース2011年9月27日号)。

 国内外の完成品メーカーは、日本の部品メーカーに対して調達の見直しを公言し、一段の値下げを求めてくる。国内にとどまるべきか、今こそ海外に進出するべきか。技術の流出、雇用の問題、不況下での投資判断…先の見えない景気と円高を前に、経営者たちの葛藤は続く。

 海外進出を余儀なくされれば、一次的にも国内の雇用は減少する。既に全国で閉鎖される工場や拠点が相次いでいる。突然全員解雇を言い渡されて戸惑う人々。まとまった新たな雇用は地元になく、自治体も対応に苦慮している。「世界の景気が良くなれば、国内の雇用もいずれは回復する」という見方もあるが、果たしてそうだろうか。

 ここに2社の国内部品メーカーがある。創業は1966(昭和41)年と1967(昭和42)年の1年違い。約45年を経て現在はいずれも2代目が継いでおり、従業員規模は100人前後。また両社は生粋のメーカーではない。共に商社としてスタートし、その後メーカー主体に転じているなど共通点が多い。

 しかし海外進出についての両社の判断は全く異なっていた。1社はリーマンショック以前の12年前に、既にタイに工場を建設して進出している。海外生産比率は現在約3割に上る。一方は創業以来、国内100%生産を続けており、「今後も国内生産にこだわり続ける」と宣言する。

 その背景には、各社のどんな思いがあり、トップはどう判断を下したのだろうか。2社へのインタビューを通じて、「国内企業は海外に出るべきか否か」という喫緊のテーマについて考えてみたい。

◇◇◇◇◇

 日本列島を縦断して猛威を振るった台風15号が、首都圏を襲った9月21日。私は三栄精工(山梨県南アルプス市)・社長の山本詳士さんとともに、ワッティー(東京都品川区、百村賢司社長、旧社名:京浜測器株式会社)の神奈川県相模原市にある事業所に向かった。強まる風雨の中、本社から駆けつけた常務取締役の菅波希衣子さんが、タオルを携え笑顔で迎えてくれた。

 ワッティー相模原事業所は、いわゆる工場団地の一角にあった。元はぶどう農園だった土地を市が買い取り、企業を誘致した。製造業13社、卸売業2社、小売業1社の計16社が出資する「協同組合Sia神奈川」が組織され、運営されている。ワッティーは2009(平成21)年11月に、厚木工場と相模原の研究施設を集約する形で移ってきた。敷地面積は3倍になり、大口顧客からの要望にも十分に応えられるようになった。

 そもそもこのインタビューは、三栄精工の山本さんが菅波さんに対して、新事業所を見学するとともに事業戦略や今後の見通しについて聞かせてほしいと依頼して実現した。創業者が同じ山梨出身であり、同業の部品メーカーでもあるワッティーの話を、一度詳しく聞いてみたかったのだそうだ。

 山本さんの会社は12年前に海外進出したが、ワッティーは海外進出を考えていないという。取引先から値引きや海外進出を迫られる部品メーカーが多い中、どうしてそれが可能なのだろう。そしてなぜ言い切れるのだろう。私としても興味津々で、ぜひ同行させてくださいとお願いしたのだ。

 私たちはタオルまで用意してくれた菅波さんの心遣いに感謝しながら、会議室に案内していただく。事業所の責任者でもある熱システム事業部長、執行役員の宇佐美城治さんが待ってくれていた。彼と菅波さんから会社と事業の説明をひと通り受け、事業所内を案内していただいた。

山本詳士さん
三栄精工株式会社
代表取締役社長
菅波希衣子さん
ワッティー株式会社
常務取締役
宇佐美城治さん
ワッティー株式会社
執行役員・熱システム事業部長

コメント1件コメント/レビュー

大手企業は口先では「日本に留まって日本の中小企業を支援していく」等と日本の消費者に聞こえのいい事を言っているが、それはあくまで営業のためであって、だまされてはいけない。日本から海外に進出して来ている日系大手企業は全部、「中国と同じ価格にしないと取引を止める。」とか、「海外での現地調達率をあげる様、本社から指示が来ているので、海外に出て来ないと取引を止める。」と中小企業を脅迫して、値段を下げさせたり、海外の自分の工場の近くに中小企業を来させている。こういった大手企業の中小企業の弱みに付け込んだ中小企業への脅迫行為を止めない限り、余程の特殊技術を持っていない限り、日本国内だけにしか工場の無い中小企業は生き残れない。理論で言うのは容易いが、現実の世界はもっと厳しい。(2011/10/18)

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大手企業は口先では「日本に留まって日本の中小企業を支援していく」等と日本の消費者に聞こえのいい事を言っているが、それはあくまで営業のためであって、だまされてはいけない。日本から海外に進出して来ている日系大手企業は全部、「中国と同じ価格にしないと取引を止める。」とか、「海外での現地調達率をあげる様、本社から指示が来ているので、海外に出て来ないと取引を止める。」と中小企業を脅迫して、値段を下げさせたり、海外の自分の工場の近くに中小企業を来させている。こういった大手企業の中小企業の弱みに付け込んだ中小企業への脅迫行為を止めない限り、余程の特殊技術を持っていない限り、日本国内だけにしか工場の無い中小企業は生き残れない。理論で言うのは容易いが、現実の世界はもっと厳しい。(2011/10/18)

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