• ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
  • 日経BP

核燃料サイクルを巡る権力の真意

「ブルドーザーのように」進んでいった勢力

  • 山岡 淳一郎

バックナンバー

2011年10月19日(水)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

前回から読む)

 2004年の春、私は、ある人物を介して「19兆円の請求書―止まらない核燃料サイクル」と題した「内部告発文書」を受け取った。A4判で25頁にわたって、大きな文字でわかりやすく核燃料サイクルが「無用の長物」になったことがしたためられていた。

 このまま「プルサーマル計画」が進めば19兆円を注ぎ込み、電気料金や税金に化けて国民にツケが回るという。作成したのは、後世に途方もない負担を残すことに危機感を募らせた経産省の現役官僚だ。9電力の地域独占体制に風穴をあけ、ブラックボックスだらけの電力供給システムを「透明化」したいという意思も伝わってきた。

 青森県六ヶ所村の再処理工場でのプルトニウム抽出試験の開始まで秒読みの段階だった。試験が始まれば、後戻りはできない。いまから思えば、ひとつの転機だった。


* * * * *


(文中敬称略)

 原子力発電には「使用済み核燃料(高レベル放射性廃棄物)」の処理(バックエンド)問題が、影法師のようにつきまとう。しかも、適正な解答は、見出されていない。

 原発は「トイレのないマンション」といわれる。使用済み核燃料の処理方法が確立されていないからだ。原発は自ら出した汚物にまみれて、雪隠詰めになる怖れがある。

 そもそも使用済み核燃料の処理は、ワンスルー方式(1回限りの使い捨て埋設)とリサイクル方式に大別される。日本は資源の有効利用をタテマエとして、後者を選び、最初の原子力長期計画1956から「核燃料サイクル」を国内で確立する方針を掲げてきた。

「夢の原子炉」という筋書きの破綻

 使用済み燃料は、再処理してプルトニウムを分離、回収。MOX燃料(ウラン・プルトニウム混合燃料)をこしらえる。それを「高速増殖炉(FBR)」に回して稼働させる。高速増殖炉は消費した核燃料よりも多くの核燃料が得られ、そのうえ軍事転用も可能なプルトニウムを生成できるとあって「夢の原子炉」と呼ばれてきた。67年の原子力長計では高速増殖炉を80年代後半に「実用化すること」を目標と定めた。

 ところが、この筋書きは破綻した。
 高速増殖炉の原型炉「もんじゅ」は、初発電から4カ月足らずの1995年12月、ナトリウム漏出火災事故を引き起こす。管轄する動力炉・核燃料サイクル事業団(動燃・現日本原子力研究開発機構)の事故後のビデオ公開が「情報隠ぺい」と糾弾され、長期間の運転停止を強いられた。

 高速増殖炉のメドが立たないとみた政府は、90年代末に稼動中の軽水炉でMOX燃料を燃やすプルサーマルへと方針を切り替える。プルサーマル導入に際し、資源の活用、エネルギー自給率の向上、余ったプルトニウムを持たないという国際公約の遵守などの利点を自民党政権はしきりにアピールした。

 だが、MOX燃料を使うプルサーマル計画には経済性の欠如、重大な事故発生の危険、再処理をしても利用できるプルトニウムは使用済み核燃料のわずか1~2%(燃え残りウランは溜まり続ける)といった欠点が次々と浮上する。

コメント15件コメント/レビュー

軽水炉のPuはPu240が多く含まれ、高度な技術力が有れば可能という人もいますが基本的に威力も信頼性も低い爆弾になります。マンハッタン計画はPu240の発見で遅れたと言われています。普通は馬鹿馬鹿しいから黒鉛炉でPu239を作ります。軽水炉では普通の燃料棒でも3割程度U238がPu239に変化して燃焼し熱となるそうです。使用済燃料棒から取り出せるPuが燃料棒に対し1~2%の意味です。使用前の核燃料は放射線はあまり出しませんが使用後は話は別です。ヨウ素、セシウムほか大量の放射線を出す物質が大量に出来ます。なぜ使用済燃料棒が冷却プールで何年も冷却されているか、福島で冷却水と共にヨウ素とセシウムだけが僅かに漏れただけでどれだけの問題になってかを考慮した上で、使用済核燃料が何トン有るか考えてください。さらに再処理過程で化学処理を繰り返すので最終処分場がまだ無いのに高レベル廃棄物の量は増えます。コストも少なくとも現時点では通常の核燃料より高く付きます。つまり、記事の通り最初から目処も立っていない技術開発の成功を前提にした馬鹿げた計画なんです。(2011/10/21)

「原発は何処から、何処へ――」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

軽水炉のPuはPu240が多く含まれ、高度な技術力が有れば可能という人もいますが基本的に威力も信頼性も低い爆弾になります。マンハッタン計画はPu240の発見で遅れたと言われています。普通は馬鹿馬鹿しいから黒鉛炉でPu239を作ります。軽水炉では普通の燃料棒でも3割程度U238がPu239に変化して燃焼し熱となるそうです。使用済燃料棒から取り出せるPuが燃料棒に対し1~2%の意味です。使用前の核燃料は放射線はあまり出しませんが使用後は話は別です。ヨウ素、セシウムほか大量の放射線を出す物質が大量に出来ます。なぜ使用済燃料棒が冷却プールで何年も冷却されているか、福島で冷却水と共にヨウ素とセシウムだけが僅かに漏れただけでどれだけの問題になってかを考慮した上で、使用済核燃料が何トン有るか考えてください。さらに再処理過程で化学処理を繰り返すので最終処分場がまだ無いのに高レベル廃棄物の量は増えます。コストも少なくとも現時点では通常の核燃料より高く付きます。つまり、記事の通り最初から目処も立っていない技術開発の成功を前提にした馬鹿げた計画なんです。(2011/10/21)

初めて知らされることが多く、もっと世に知らしめるべき内容だと思いました。それにしても、この記事に反論している人達は原発関係者なんでしょうか?政治家と官僚と経済界の上層部だけ(マスコミも?)がまだ、原発にしがみつこうとしているだけです。原発の時代は、3月11日で終わったのです。(2011/10/21)

>試験が始まれば、後戻りはできないなのに今頃、後戻りをしようと?意味が分かりません。>MOX燃料を使うプルサーマル計画には経済性の欠如、重大な事故発生の危険、再処理をしても利用できるプルトニウムは使用済み核燃料のわずか1~2%なのに>ドイツ、スイス、ベルギーが抽出済みのプルトニウムの在庫を燃やしたら、プルサーマルを終了と、他国では普通に行われているんですね?そんな非合理的なことをするとは思えませんが・・・。ドイツなら爆弾が目的でも分かりますが、スイスやベルギーも持ちたかったのかしら?「わずか1~2%」も何のことやら分かりません。体積?重さ?エネルギー?>原発推進のための原発建設でも瓢箪から駒でCO2対策になったと。>何万年という超長期にわたって放射能を出すnikkeibpの記事に長期間放射線を出すモノは放射線量は少ないと書いてありました。少ないから長く出し続けていられると。ならば左程、気にしなくてもいいような・・・>各層の人材が参加プロ市民も入れちゃうと。それもなあ・・・(2011/10/20)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

日本の経営者は、経験を積んだ事業なら 失敗しないと思い込む傾向がある。

三品 和広 神戸大学教授