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大相撲の八百長は根絶できる?

「1勝の経済価値」の格差改善が必要

2011年11月14日(月)

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 11月13日、大相撲の九州場所が始まった。2011年初頭から大相撲の八百長問題が大きな話題になっている。十両力士らの間で勝星の売買・貸し借りに関するメールが見つかったからだ。関係する力士や親方の処分、不祥事による春場所開催中止など前代未聞の事態となった。

 正常化に向けて努力する角界だが、そもそもなぜ八百長が起きるのだろうか。

 この問いに答える形で、八百長の「合理性」について経済学的な議論が行われてきた。例えば中島隆信著『大相撲の経済学』(ちくま文庫)、スティーヴン・レヴィット/スティーヴン・ダブナー共著『ヤバい経済学』(東洋経済新報社)などでだ。

 本稿では、こうした議論にゲーム理論や契約・組織の経済学の観点から分析を加え、八百長のインセンティブ(意欲刺激)をいかにコントロールするか論じてみたい。

力士間で異なる1勝の経済価値

 八百長の根本的な発生理由は、1勝の経済価値が力士間で異なること。価値の差を生む原因の中でも特に目を引くのは、十両と幕下力士の待遇格差だ。十両以上の関取には月給100万円超が支払われるのに対し幕下以下では給料はゼロ、よって十両からの降格による給料の減少は少なくとも200万円(100万円×復帰まで最低2カ月間)以上になる。

 金銭的な処遇のみならず、十両以上の関取には付き人があり相撲部屋での待遇も向上する。さらに、引退後約30年にわたって相当の所得が約束される年寄株を取得するための要件に、関取の在位期間の長さが含まれている。

 幕下への降格の危機により1勝の経済価値が100万円を超えるという状況に直面すれば、絶対にしてはいけないこととはいえ、数10万円を支払って取引する誘惑に駆られるのは、あり得ないことではないだろう。とりわけ、真剣勝負をしても容易に勝つことができない相手との取引が成立可能なら、八百長を行うインセンティブがぐっと高まるだろう。

 八百長を成立させるためには、事前の打ち合わせと取引の方法についての合意が必要だ。元力士の証言(元小結・板井氏)や発覚したメールによれば、取引方法としては金銭の授受や星(勝敗)の貸し借りが実際に用いられていたようだ。

 2つの方法にはそれぞれ難点がある。金銭の授受は、金額の設定など事前の交渉も含めて八百長発覚の可能性を高める。また、支払う側に十分な資金がなければ成立しない。一方星の貸し借りについては、発覚の可能性は低くなるが、借りた側がきちんと星を返してくれるのか、また貸した側が受け取る星は将来どの程度重要なのかなど、様々な不確実性が伴う。貸した側のメリットがきっちり担保されていなければ、継続的な関係に基づく貸し借りのメカニズムは機能しないのだ。

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