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新しい海外への玄関口

羽田空港国際線旅客ターミナルのサービスの裏側

  • 北原 康富

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2011年10月28日(金)

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 新しい海外への玄関口となった羽田空港国際線旅客ターミナル(以下、国際線ターミナル)に行かれたことはあるだろうか。海外に行く際に、羽田という新しい選択肢が加わったのは、都内からすぐに行ける利便性もあり、個人的にはとてもうれしい。昨年10月にオープンして以降、様々な国・都市へと行けるようになった。また、このターミナルは交通機関にとどまらず、観光スポットとしての魅力から、旅客以外の訪問客も多いという。

 国際線ターミナルに入ると、まず目につくのが各施設の広さだ。エレベーターが非常に大きい。トイレも広い。案内板も大きくわかりやすかった。また、ポイントポイントに緑の制服「コンシェルジュ(案内スタッフ)」が立っており、何かあってもすぐに聞ける安心感があった。この施設には、開放感あふれる機能的空間という「ハードウェア」と、コンシェルジュに代表されるきめ細やかなサービスという「ソフトウェア」が融合した新しいコンセプトで運営されている。今回は、このサービスの裏側にあるチームに焦点をあて、サービス業におけるチームワークについて考えてみたい。

チーム・メンタルモデルの開発

 国際線ターミナル設立にあたり、様々な企業が整備・運営事業に手を挙げた中で、事業者として選ばれたのが、現在の「東京国際空港ターミナル株式会社」である。

 旅客サービス部 マネージャーの平岡美紀氏は当時のことをこう語る。

 「外国の方をはじめとして、高齢者や障がいのある方、お子供連れの方など、多様なお客様があふれる空港にふさわしいユニバーサルデザインへの取り組みを取り入れることは、国からの業務要求水準の1つでもありました。私たちは、そういった施設面での整備に加え、『より優しい』ターミナルを目指して、ターミナル内の案内スタッフを“コンシェルジュ”と称し、おもてなしの心でお客様をお出迎えすることを提案しました。他の候補者がどのような提案をしていたのかは分からないのですが、コンシェルジュを設けることは私たちの独自の案だったのではと思っています」

 2006年に事業が開始され、ユニバーサルデザインについては即座に着手したが、コンシェルジュ業務の具体的な運営体制の検討に取り掛かったのは、2008年からであったという。

 「当社が提案し、採用されたサービスのコンセプトは、かなりレベルの高いものでした。一言でいうと『高品質なサービスを提供します』ということですが、この具現化が非常に難しい。なぜかというと、提供するものが製品ではなくサービスという目に見えないものだからです。そこで、目指すべき品質のサービスとは具体的にどのようなものなのか、という共通認識をつくり、共有し合うことにまずは時間をかけました。コンシェルジュ1人ひとりがそのサービスの『品質』になるので、人材育成プランの開発から始めました。目指すべき人材像とその育成・教育プラン、それぞれのグレードの基準と認定方法、モチベーションを保つ制度から、実際の仕事の分担などをまとめていきました」
 「この企業はいろいろな会社から集まってきた社員で構成されていますので、人材育成プランを作成しても、すぐに理解してもらえなかったです。というのは、バッググラウンドが皆違うので、言葉ひとつとっても、認識する背景が異なってくる。そのため、かなり噛み砕いて説明をするなど、そういうことに時間がかかりました」

 紙に書いた内容を実現まで持っていくにはかなりのエネルギーが必要になる。ましてや、新たな会社においては、それ以上だろう。各自の事情が異なるところから共通認識を作り上げていくのは、非常にタフな仕事である。コンシェルジュのチームを作り上げる前に、事業会社としての体制、チーム作りが必要であったことがうかがえる。

 平岡氏がこの人材育成プランを立てた時点では、まだコンシェルジュ候補は一人もいないという状況であった。人材育成プランと同時に、人員構成、組織体制、責任者体制、勤務体系、施設オープンまでの採用計画も作り上げ、2008年の年末に、コア候補となるコンシェルジュ4人が決まった。この4人は国内線での業務経験者であった。コンシェルジュのチームづくりはここから始まる。

 このケースのように、チームが発足し、これまでになかった新しいコンセプトの仕事をする場合、「チーム・メンタルモデル」の構築は、通常のチームビルディングより難しい。「チーム・メンタルモデル」とは、チームワークの心理的側面を研究する中で、最近提唱され始めた概念である。まず、メンタルモデルとは、“過去の体験を通じて作られた心の中のイメージ”である。人がある言葉を聞いたり、物を見たりした時、それに関連するメンタルモデルを思い浮かべることによって、それに照らして理解しようとする。

 例えば、「風鈴の音」と聞いて、静かな夏の午後にさわやかな風が通る状況が思い浮かぶだろう。これがメンタルモデルであり、人はこのモデルを通じて、単に「チリン」という音だけでなく、これに関連する様々な状況を、効率的に理解していくのである。また、航空機の整備士は、担当する機械システムについてのメンタルモデルを持っており、ある状況―例えば圧力とか音など―の情報が与えられると、機械システムのメンタルモデルを用いて、どのような理由でその状況になっているのかをイメージし、そして、確認が必要な部分を効率的に探索する。

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