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ブランドマグロ誕生秘話

流通改革でV字回復~西松

2011年11月1日(火)

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 マグロが好きな日本人は多いだろう。この人気魚についてちょっとおさらいしておこう。

 総務省の家計調査によれば、マグロの消費量は東日本で高く、逆に鯛等の白身魚の消費量は西日本で高いという。つまり、地域によって消費量に大きな差がある食材といえる。農林水産省の水産物流統計をみると、1980年代に輸入マグロが急増し、今では輸入と国産でほぼ同じ量が流通している。日本が輸入している国は50カ国を超える。国内で流通しているマグロの約70%は冷凍マグロで、その残りが冷凍していない生マグロだ。

三崎漁港での冷凍マグロの水揚げ(写真提供:西松)

 世界でも有数のマグロ大国日本に吹き付ける逆風はきつい。国内にかつて1200隻のマグロ漁船があったのが、原油高による操業コストの上昇から激減。国内での魚食離れの流れやマグロ資源の枯渇に伴う漁獲規制もある。その一方で、海外に目を転じると、健康志向の高まりや日本食ブームから、世界各国での消費量は増加傾向にある。日本は今なお根強く残る低価格競争に明け暮れる流通形態から海外企業に買い負けするようになり、国内でのマグロ流通量は近年減少傾向にある。このため、生簀(いけす)で若魚を育てる蓄養が世界各地度行われるようになった。日本では卵から成魚まで育てる完全養殖の研究開発も活発に行われるようになっている。

 今回は激変期にあるマグロ流通市場において、流通方法やターゲット顧客を逆転思考で転換し、売上が1/3まで落ち込んだところからV字回復しようとしているマグロ廻船問屋の西松を紹介する。神奈川県三崎町に居を構える従業員数20人程度のどこにでもありそうな小さな会社が何を仕掛けているのか。

少量多品種への対応

 西松の創業は明治時代後半の1894年。西松商店という屋号を名乗り、三崎漁港の近くにある魚問屋として商売を始めた。1917年に事業内容を多角化して廻船問屋事業を始め、全国各地の漁船や水産練習船の出入港、マグロの水揚げに携わるようになった。 

 もともと家族経営の零細企業であったが戦後経営の近代化を図る。1952年に有限会社西松商店を設立、1975年に水産食品加工部門を新設した。1996年には株式会社西松に会社形態を改め、翌1997年に工場と冷凍庫を完工、三崎漁港で水揚げされた冷凍マグロの仲買や委託買付の業務とともに、マグロの加工と保管、流通、製品販売等の業務を一体化した。

 さらにマグロの販路開拓に手をつけたのが2000年を過ぎた頃からである。背景には、マグロの国際的な市場の変化の中で、取り扱う冷凍まぐろの量が1999年をピークに年々減少し始めたことがある。逆風に遭遇し、それまでの主な業務であった市場出荷や大手加工会社の加工原料の買付業務の価格競争が激化、同じことをやり続けていては経営し続けることができなくなったのだ。事業内容を転換するために、2003年には都内の百貨店に初の小売事業となる「まぐろ問屋西松」を出店した。しかし、小売業のノウハウの不足から、その翌年にはあえなく撤退を余儀なくされた。

 そこで西松は本業のマグロの加工と流通の変革に取り組むことになる。それまでの生産量を重視する加工から、品質を重視する加工へと舵を切った。商品の品質管理を徹底し、他社向け商品の買い付けや下請け業務から脱却し、食品スーパーや飲食店、個人の消費者等の顧客へ商品を直接ライセンス販売する経営戦略に切り替えた。

 「販路の再構築を実施した」と西松の相原宏介専務は当時を振り返る。

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「ブランドマグロ誕生秘話」の著者

内藤 耕

内藤 耕(ないとう・こう)

サービス産業革新推進機構代表理事

世界銀行グループ、独立行政法人産業技術総合研究所サービス工学研究センターを経て現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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