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地域間の雇用ミスマッチは拡大しているのか

職種、技能、年齢を考慮した支援が必要

2011年11月28日(月)

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 東日本大震災から半年以上たった今でも、瓦礫の撤去や除染作業はなかなか進んでいない。震災前の元の生活に戻るまでには、まだまだ時間が掛かりそうである。雇用回復への道のりもまた長そうだ。

 岩手、宮城、福島3県の7月時点における月間有効求職者数は3月時点に比べて約3万人増加した。特例により雇用保険給付期間が通常よりも4カ月長くなったが、持続的に安定した生活を送るためには雇用の確保が喫緊の課題であるのは言うまでもない。

 それに呼応して、首都圏を含め他の都道府県から、職を失った被災者を助けるために、被災者を採用したいと手を挙げる企業が続々と出てきた。しかし、被災者の地元志向が強いこともあってか、なかなか採用までには至らないという声が聞こえる。

 このような求職者のニーズと求人企業のニーズが一致しないことによる地域間の雇用ミスマッチは、雇用回復の足かせになっているのだろうか。また震災以後、地域間ミスマッチは拡大しているのであろうか。簡単な指標を使って地域間ミスマッチの変遷を眺めていく。

ミスマッチ指標とは何か

 まず簡単に地域間ミスマッチの指標について説明しよう。ここではロンドン・スクール・オブ・エコノミクスのリチャード・ジャックマン教授とウォーリック大学のステファン・ローパー教授による、1987年発表の論文(1987)で紹介されたミスマッチ指標を採用する。

 前提条件として日本全体には複数の地域労働市場が存在し、各地域で募集されている求人数は所与とする。地域間ミスマッチを縮小させるということは、地域全体で求職状態にある労働者を少なくするように、求人分布に従って各地域に求職者を配分することを意味する。すなわち、求職者を求人が少ない地域から多い地域に移動させれば、日本全体の求職者数は減少し、地域間ミスマッチは縮小する。

 マッチング効率性(求職者数や求人数を一定にした上で互いが出会う頻度)や雇用関係が成立した求人・求職者の組の生産性が、全ての地域で等しいと仮定した場合、地域全体の求職者数を最小にするには、全ての地域の「労働市場逼迫率(求人数/求職者数=求人倍率のようなもの)」が等しくなるように求職者を地域間で移動させればよい。

 そうすれば、各地域の逼迫率は地域全体の求職者数と求人数を集計して計算した労働市場逼迫率と等しくなるはずである。また、最適な求職者の分布と実際の求職者の分布の差が、雇用のミスマッチの度合いを示す。

 最適な求職者の分布になるために地域間を移動しなければいけない求職者の総数を、全求職者数で割った値が、地域間ミスマッチ指標である。このミスマッチ指標は0と1の間の値をとる。ミスマッチ指標が1の時、求職者全員が求人のない地域にいて、全員が移動しなければいけないことを意味する。反対に、ミスマッチ指標が0の時、全ての求職者は地域間を移動する必要がなく、ミスマッチがないことを示す。

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「地域間の雇用ミスマッチは拡大しているのか」の著者

佐々木 勝

佐々木 勝(ささき・まさる)

大阪大学経済学研究科教授

大阪大学大学院経済学研究科教授。ジョージタウン大学でPh.D(経済学)取得。世界銀行、アジア開発銀行、関西大学、大阪大学社会経済研究所を経て2011年4月から現職。専門は労働経済学。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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