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“アノ”内部告発で考える、「老害トップ」の悪質な手口

会社を愛しながら低成長に転落させる高齢経営者の悲哀

2011年11月17日(木)

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 「うちの会社のトップと同じだなぁ~」──。そう言って苦笑した人たちも、少なくなかったのではないだろうか。

 「やってられるか! 訴えてやる!」とばかりに、涙ながらにブチ切れたのは、日本プロ野球・読売ジャイアンツの清武英利・球団代表兼ゼネラルマネジャーだ。渡辺恒雄球団会長(読売新聞グループ本社会長・主筆)が球団人事に介入したことについて、「球界で生きる選手、コーチ、監督の基本的人権をないがしろにした」として告発した、“アノ” お家騒動である。

 この騒動の事実関係は分からないけれども、清武氏が述べたことを聞いて、

 「報告したこと聞いてないって、しらばっくれるところなんて、ウチの社長と一緒だよ」
 「そうそう。ウチのトップも、自分で承認のハンコまで押しといて、『誰だ、こんなこと決めたのは!』なんて騒ぎ立てることがしょっちゅうあるし」
 「ウチも似たようなもんだな。現場の若いヤツらにいろいろ密告させてさ、『お前が勝手にやってるって、みんな不満を言ってるぞ』とか因縁つけるんだから、たまんないよ。『誰がそんなこと言ってるんですか?』って聞いても、『若いヤツらだ』としか言わないし。同じだね」

 などと共感した人たちの声が聞こえてきそうだった。

 中小企業、特にオーナー企業に勤め、いつまでも実権を握っているトップに翻弄され続けている人たちから、これまで幾度となく相談を受けたものだが、その内容とほとんど同じ。思わず笑ってしまうほど言動がそっくりなのだ。

 部下たち、特に取締役クラスの人たちのやる気を萎えさせ、時にプライドをズタズタにさせる“鶴”、ならぬ“ゾンビ”の一言を、世間では“老害”と呼ぶ。

 高齢化が進む中、元気な高齢トップたちが、いつまでも「オレの言うことが聞けないのか!」と言わんばかりに権力を行使する。

 帝国データバンクの調査によると、1981年には52歳1カ月だった社長の平均年齢は2010年には59歳7カ月と30年連続で上昇し続け、2010年の社長交代率は2.47%で、過去最低を更新した(出所:帝国データバンク「全国社長分析」)。このような状況の下では、その“老害”に頭を抱える方も増えているのではないかとも思えるわけで……。

 そこで、今回は、社長の「老害」について考えてみようと思う。

突然に風向きが変わった巨人軍の“お家騒動”

 既にご存じだとは思いますが、読売巨人軍の“お家騒動”の経緯をざっとおさらいしておこう。

 事の発端は、先週の金曜日に清武代表が「内部告発」と受け取れる記者会見を文部科学省で開いたことだった。その中で同代表は「渡辺会長から、コーチ、フロントの人事について不当な指示などがあった」として、同会長が「球界で生きる選手、コーチ、監督の基本的人権をないがしろにした」と主張した。

 清武代表によると、岡崎郁・1軍ヘッドコーチとの契約が内定しているにもかかわらず、今月9日、渡辺会長から「1軍ヘッドコーチは江川卓氏とし、岡崎コーチは降格させる」と告げられたとし、これまでのいきさつの一部始終を記した声明文をマスコミに配布したのである。

 声明文の内容を報道で見聞する限り、清武代表は10月20日に桃井恒和オーナー兼球団社長とともに、読売新聞本社の渡辺会長を訪れ、岡崎氏がヘッドコーチに留任することを含む、コーチ人事の内容と構想、今後の補強課題を記した書類を持参して報告し、渡辺氏の了承も得ていたらしい。

 にもかかわらず、今月4日夜、渡辺オーナーが記者団に「オレは何も報告を聞いていない。オレに報告なしに、勝手にコーチの人事をいじくるというのは、そんなことあり得るのかね。オレは知らん。責任持たんよ」と発言したことに言及。「これは経営者として断じて許されない行為であり、巨人にもコンプライアンス(法令順守)が要求される。それを破るのが、渡辺氏のような最高権力者であっては断じてならない」と痛烈に批判したのだ。

 「おお、清武よく言ったぞ!」──。おそらくこの時点までは、そう思った人も多かったことだろう。何せ渡辺会長といえば、これまでにもその言動が物議を醸してきた。「なぜ、あの人があそこまで権力を持っているのか?」と不思議に思った人もいたはずだ。

 さらには、「結局、いつも最後はあの人が出てくるんだなぁ~」と、嘆きとも落胆とも、あるいは怒りとも、何とも形容しがたい感情を抱いた人もいたに違いない。

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「“アノ”内部告発で考える、「老害トップ」の悪質な手口」の著者

河合 薫

河合 薫(かわい・かおる)

健康社会学者(Ph.D.)

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調査研究を進めている。働く人々のインタビューをフィールドワークとし、その数は600人に迫る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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