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『落語論』で考えた言葉の技術の習得法

日本のリーダーでも身につく「身体」に訴える語り口

2011年11月25日(金)

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 海外に出張して、さまざまな方の話を聞かせていただくことが多いのだが、その中で時折「これはすごい」と感じる機会に遭遇することがある。今年聞いた中での白眉は、アラブ首長国連邦のアブダビで聞いたゴードン・ブラウン元英首相の話だ。

 スピーチ自体のうまさもさることながら、その後の質疑応答のやり取りがすごい。新興国の政治リーダーから多国籍企業のトップまで、多様な立場・意見の聴衆がいることを十二分に踏まえたうえで、厳しい質問に対して、押しつけがましくなく、しかも多くの人に説得力のある形で、切り返していく。

 当意即妙という言葉はこういうことか、と思わされるやり取りだ。時折、ジョン・F・ケネディ米元大統領の就任演説の一部を(当然「そら」で)引用し、論理だけでなく、聞き手の感情にも訴える。幅広く深い教養に裏打ちされた意見なのだな、と自然に感じさせられ、妙な言い方だが、「参りました」という感じだった。英国の一流の政治家の「言葉の技術」は、ただ事ではない、と思わされた次第。

 こういうレベルのものを体験してしまうと、どうしても日本の現状と比較して、悲観的になってしまう。日本では高い「言葉の技術」を持ったリーダーが(政治の世界だけでなく)あまり出てこない。言語の問題なのか、社会そのものの問題なのか、いずれにしても、無理な注文かもしれない、などと、これまでは考えてしまっていた。

私の考えを変えた1冊のすごい本

 ところが、最近ある本を読んで、「そうでもないかもしれない」と思うようになっている。世界のリーダーとは全く違う世界の話を書いた本なので、お叱りを受けることを承知で告白すれば、『落語論』(堀井憲一郎著、講談社現代新書)という本だ。もちろん、この本の著者の意図とは全く関係なく、私が勝手にそういう読み方をしたに過ぎない。

 幅広く深い教養を身につけようとしているリーダーやその予備軍には、日本でもたくさんお目にかかる。そういう方々向けに、「言葉の技術」について、きちんと整理し、言語化し、そして意識的に学ぶ機会を作りさえすればいい。そのために、大変参考になる本だな、と感じたのだ。

 この『落語論』という書籍、タイトル通り、落語を論じた本としても、非常にレベルが高く、久しぶりに「すごい本を読んだ」と思えた。

 落語を聞いた経験が一定量ないと理解しづらい部分もあるし、壮大な論理を構築して落語世界を俯瞰しよう、という本でもない。ただ、徹底した現場経験の蓄積(何しろ、5年間で8000席余りの落語を聞いているという)を通じて、1つの世界を徹底的に観察し、そこから著者独自の見方を紡ぎだし、本質を突き詰めていく、という意味ですごさを感じさせるのだ。

 「感じること」と「考えること」を繰り返し、本質の部分を言語化して、深く掘り込んでいく、と言い換えてもいいかもしれない。一読して、なかなかここまでできるものではないと感心した。

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「『落語論』で考えた言葉の技術の習得法」の著者

御立 尚資

御立 尚資(みたち・たかし)

BCGシニア・パートナー

京都大学文学部卒。米ハーバード大学経営学修士。日本航空を経て現在に至る。事業戦略、グループ経営、M&Aなどの戦略策定・実行支援、経営人材育成、組織能力向上などのプロジェクトを手がける。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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