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“失踪”する部下と面接ドタキャン学生の意外な接点

「訳の分からない行動」を抑えるストッパーを取り戻せ

2011年11月24日(木)

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 「ちょっと、郵便局に行ってきます」

 そう明るく言って外出した部下は、二度と戻ってこなかった。翌日も、そしてその次の日も、彼が出社してくることはなかった。

 失踪──。そう、失踪してしまったのだ。

 「失踪事件なんて久しぶり。以前は残業とか多くて、労働環境もあんまり良くなかったから、特に決算期とかに失踪しちゃう人っていたんですよ。でも、最近は労働環境も改善されて、ここしばらくは“失踪”なんて言葉も聞かなくなっていた。ホント、久しぶりの失踪事件です」

 「ところが、これがまた訳の分からない、なんちゃって“失踪”でして。失踪しちゃったと思っていたら、何と“夜ラン”には平然とした顔で来てたんです! この界隈のオフィスに勤める人たちのランニングサークルがあるんですけど、それにはいつも通りに参加していた。チームには会社の同僚もいるのに、毎晩、全く気にする様子もなく平気な顔で、フツーに走っているというんですから、あ~、訳が分からない」

 困惑した様子でこう話してくれたのは、保険関連の会社に勤める40代の男性である。

 会社から突然、姿を消す人は、数年前からいた。その多くは彼が指摘するように、厳しい職場環境に置かれ、「もう、無理!」とばかりに会社に来なくなった人。出社時刻になっても出勤せず、連絡を取ってみると、「しばらく休ませてください」と身体の不調を訴える人だ。

 このコラムでも締め切りに追われて「逃げてしまった」40代の男性を取り上げたことがあった(関連記事:「もう無理」と言い残して“逃げた”45歳の本音)。ギリギリまで追い詰められた時、誰だって「もういいや」と、すべてから逃げたくなることがある。後先を考えずに、とにかくその場から逃れたくて、逃げたくなる。そして、どうしようもなくなった時、ホントに逃げてしまうのである。

元同僚の問いに「何で?」と返した職場放棄の若手社員

 ところが、前述の部下は、追い詰められたようには見えなかった。「ちょっと郵便局に行ってきます」と言った彼は、誰の目から見てもいつも通りだったそうだ。しかも、男性の話では、郵便物はちゃんと送り、“夜ラン”には、何食わぬ様子で参加しているという。

 ううむ。確かに訳が分からない。何らかの理由があって、逃げ出してしまったのだろうけど、どうしてなんちゃって“失踪”の後も、会社の同僚もいるランニングチームに平然と参加できるのだろうか。

 これまでにも、「病院でウツと診断されたので、しばらく休職させてください」と会社に対してメンタルの不調を訴えていた一方で、ジムでは元気モリモリとトレーニングに励んでいた、というようないわゆる「社内ウツ」の方の話を聞いたことはあった。しかし今回は、それともちょっと異なるようで……。

 「もっと驚く話をしましょうか。彼と一緒に走っている同僚が、勇気を出して彼に聞いてみたんです。『会社に突然来なくなって、みんな心配しているよ』と。そしたら何と答えたと思います? 『何で?』って言ったそうです。『何で?』ってこっちが聞きたいですよ」

 何で? ね。アハッ、笑っちゃいけないけれど、やっぱり笑える。彼は真面目に、「何で?」と思ったのだ。突然、職場放棄したことを悪いとも思わなければ、「やってしまった!」と後悔もしていない。

 「え? だって急に家に帰りたくなっちゃったんだもん」。きっとその程度にしか考えていないのだろう。いやいや、あまりに自分でも訳の分からない行動を取ってしまって、いわゆるショック状態に陥った? その可能性もある。

 いずれにしても、フツーの感覚では理解に苦しむ。“夜ラン”に行ったり、「何で?」の一言で終わらせてしまう言動は、訳が分からないというしかないだろう。

 というわけで、早くも混乱(←私の頭の混乱です)が予想されるのだが、最近、訳の分からない行動について耳にすることが少なくないので、とりあえず考えてみようと思う。

 今回のテーマは、「訳の分からない行動を取る人々」についてです。

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「“失踪”する部下と面接ドタキャン学生の意外な接点」の著者

河合 薫

河合 薫(かわい・かおる)

健康社会学者(Ph.D.)

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調査研究を進めている。働く人々のインタビューをフィールドワークとし、その数は600人に迫る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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