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「今の瞬間を大切にしないなら、明日はない」

第8回・トルコ、山越え編

  • 大角 理佳

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2011年12月2日(金)

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 一行がパリのエッフェル塔から日本に向けて出発したのが6月25日。フランスを過ぎ、ドイツ、オーストリア、ハンガリー、セルビア、ブルガリアを通って、トルコへ入った。ガリバーインターナショナル会長の羽鳥兼市氏、執行役員の須釜武伸氏、羽鳥氏の三男・彰人氏のランナー3人がこの国に滞在した52日間は、とりわけ忘れられないものとなった。

今日がダメなら明日もダメ

 アジア大陸に入ってメンバーたちを待ち受けていたのは、どこまでも続く茶色い大地と、その真ん中を突き抜ける1本の道。自然の迫力を全身で感じながら、羽鳥氏らは日々、挑戦を続けていた。遮るものが何もないと、向かい風の強さは格別。上り坂もきつい。そして何より高地のため酸素が薄いことでの身体へのダメージは大きかった。

これまでで最高の標高2210m地点。酸素不足で意識が遠のく感覚を味わった

 10月8日の時点での須釜氏の記録だ。「現時点では、標高1300mくらいから息が苦しくなる。これでこんなに息苦しいなんてまだまだダメだなぁと思いながら走った。1400mくらいで身体に変化がある自分が悔しかった」

 高地を走っていると、息苦しく、身体が重く感じられる。羽鳥氏はこの頃、右ひざの痛みとも闘っていた。あまりのキツさに、一瞬羽鳥氏の頭によぎった「俺はなんでこんなことを始めたんだろう」という思い。しかし、その気持ちはすぐさま打ち消された。

「矢は放たれている。もう戻らない。やるしかないんだ」

 粗い砕石が敷いてある不安定な道がしばらく続いていた。着地の際も慎重になるため、脚の小さな筋肉も使うことになり、余計に疲労感も高まってしまう。しかし、だからといって、その日の距離を減らそうと言う者は誰もいなかった。

小石だらけの道を走るガリバーの羽鳥兼市会長

 その日のゴールが近づくと、いつものようにサポートメンバーがゴールテープを持って待っている様子が小さく見えてきた。今日も走り切ったという達成感。だが、まだまだ続く日本までの長い距離のことが頭をよぎったのか、「明日のことは考えないで何とか今日のゴールまで頑張ろう」と、彰人氏が2人に声を掛けた。

 すると、羽鳥氏。
「うん。明日のことばかり考えている人は今日だめなんだよなぁ。今日ダメだということは明日もダメなんだよな。今の瞬間を一生懸命になれなくて、どうして明日が見えるんだ。今日のゴールだけを見据えなくちゃダメだなぁ」

71回目の誕生日に

 羽鳥氏が71歳の朝を迎えた10月12日、須釜氏は、羽鳥氏に71歳になった感想を尋ねた。
「会長、71歳ってどうなんですか?」
「70歳までは60代の延長のような感覚だった。71歳になると、もっと紳士にならないといけないと思うようになったよ。今まではがむしゃらだったが、今後はもっと立派な大人にならないといけないね。もっと爽やかに、美しく、いろいろと取り組みたいよ」

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