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ベーシックインカムに対する3つの反対論

働くことで、人は自分の存在を確認する

2011年12月2日(金)

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 前回はベーシックインカム(BI)について、社会正義から見た正当性と、制度としての合理性について説明した。BIは、民主主義社会の正義とされる(1)「自由」、(2)「機会の平等」、及び(3)「格差の極少化」に適っている。また現行の社会保障制度と比べて、(1)シンプルで分かりやすい、(2)運用コストが小さい、(3)恣意性を排除できる、(4)働くインセンティヴを損なわない、(5)受給者の尊厳を保てる、という5つの具体的なメリットがある。

 一方で、BIには根強い批判、反対論が存在する。今回はBIに対する批判を紹介し、それらについて検討する。

 BI批判の論点は、主として次の3点である。

(1) 働かなくても生活できるようになれば、働かない人が増える。
(2) BIのコストは国民経済の固定費として負担になり、経済競争力を削いでしまう。
(3) BIを支給するための原資は巨額で、財政を圧迫する(そのため、他に必要な公的支出にお金を回せなくなってしまい、かえって国民の厚生レベルを低下させてしまう)。

 以下、1つずつ検討してみよう。

就労の動機と選択条件が変化する

 まず第1の批判である「働かない人が増える」という指摘について。そういう現象がある程度発生するであろうことは十分に考えられる。

 しかし、BIがあるからといって全く働かない人が大量に発生するかと言うと、私はそうは考えない。むしろBIの無い今はニートをやっている人でも、BIが導入されれば、逆に働くようになるのではないかとすら思っている。

 どういうことかと言うと、BIが導入されれば、食うために無理をしてやりたくもない仕事をする必要がなくなるからである。生活を成り立たせるために我慢して、好きでもない過酷な仕事をする必要がなくなる。生きるためではなく、「楽しむため」や「好きなことをやるため」という前向きな動機で仕事に就くことが容易になる。

 人々がこういう就労行為を取るようになると、雇用者が人を雇う場合に、低条件で過酷な仕事を押しつけることができなくなる。その一方で、好きな仕事なら賃金は低くてもやりたい、楽しめる仕事なら給料を気にせずに働きたい、という人も出てくるであろう。

 つまり、BIが導入されると、就労の動機と職業選択の条件が現在とは大きく変化することになると考えられる。

 ヘーゲルをはじめとする哲学者たちはこう考えた――人間は社会的存在であり、社会において自分の役割と存在理由を仕事(ワーク)によって自己確認する。これに照らしても、最低限の生活ができれば、仕事は全くしないという人はそう多くないと考えられる。楽しさや喜びを選択基準として仕事を選べる環境が整えば、現在ニートをしている人でも、仕事に就いてみようと考える人が出てくるだろうというのは十分に考えられることなのである。

 当然、より良い暮らしをしたいとか、より高みを目指して自己実現を図ろうとする人たちは今と何ら変わりなく働くであろう。働けば働くほど自ら得られるものは大きくなるのだから。

消費税を財源にすれば、競争力は低下しない

 次に、BIを実現するためのコストが国民経済の固定費として発生し、コストアップによる経済競争力の低下を招くという批判について考えてみよう。

 まず、単純な批判として言われるロジックは、次のような流れである。BIの原資として増税が必要となる → 税金はすべて国民経済の中で物価の上乗せとして吸収される → 従って国内生産物の価格アップが起こり、国際競争力が削がれる。

 この指摘は一面では正しいが、増税の財源を消費税にすることによって解決できる。もし財源を消費税ではなく法人税に求めるのであれば、企業はその増税分を製造原価に転嫁し価格上昇を招く。この場合は国際競争力にマイナスに働く。

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