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なぜ? コミュニタリアンとリバタリアンが共にBIに賛同するのか?

2011年12月9日(金)

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 これまで2回にわたってベーシック・インカム(BI)について説明してきた。BIは、理念的に見て、民主主義社会の正義の原理に適っている。制度としても現実的だ――シンプルで分かりやすい、運営コストが小さい。またBIに対する3つの反対論――BIにぶら下がって働かない人が出る、コスト高になって経済競争力が落ちる、必要な原資が大きすぎる――も紹介した。

 BIについて面白いのは、政府の役割について両極端の意見を持つ「コミュニタリアン」と「リバタリアン」の双方が、BIを支持している点である。コミュニタリアンは、国民の平等性を最重視し、手厚い社会保障や福祉を強く主張し、その結果大きな政府を志向する。リバタリアンは、国家における政府の役割は可能な限り小さいことが望ましいと訴えている。

 また「ネオリベラリズム論者」もBIを支持している。彼らは、リバタリアンほど思想的色彩が強いわけではないものの、経済活動も国民の厚生も市場メカニズムを最大限に尊重することによってうまくいくというスタンスだ。今回はこの点について説明しよう。

コミュニタリアンのBIは格差解消の平等政策

 コミュニタリアンがBIに賛成するのは分かりやすい。彼らは「人は平等に生活し幸福になる権利がある」という理念を根拠に、社会保障や福祉の充実を主張する。“平等”を最重要価値とするコミュニタリアンにとって“格差”は何としても是正しなければならない。特に生存権を脅されている人々が存在する状況は決してあってはならないと考える。その点、国民全員に、無条件で、生活を保障するお金を給付するBIは、理念的にも、現実的効果の面でもコミュニタリアンの主張そのものだ。

 ところで、私も含めてBIを考えるきっかけは、「普通の生活にすら困っている人々に対して何らかの公的救済を図るべきである」という思いにあることが多いのではないか。例えば、子供を抱えたシングルマザーのうち半数以上が年収114万円以下の相対的貧困に苦しんでいる現実を見ると、何としてもそうした人達に強力な支援をしなければという思いを抱く。日本が豊かな先進国であるにもかかわらず、経済的要因を理由とする自殺がどんどん増え続け、人口当りの自殺者数が世界でワースト3位であることを知ると、改善の必要性を感じる。人として自然な感情であろう。

 こうした普通の人々が自然な感情に基づいてBIを支持の動機と、コミュニタリアンがBIを支持の理由とは、厳密に言うと、理屈の面で多少違っている。普通の人々がBIを支持する理由の重点が「貧困からの弱者救済」であるのに対して、コミュニタリアンがBIを支持する重点は「格差解消」「一律平等性」にある。どちらの立場も政策の対象としては、“貧困に苦しむ社会的弱者の支援”ではあるが、理念的な重点のあり所は異なっている。

リバタリアンにとってBIは政府の介入と裁量の排除

 次にリバタリアンによるBI支持の理由を示そう。そもそもリバタリアンは、国家における政府の役割は警察・外交・国防など、最小限にすべきであるという立場を取る。にもかかわらず、最低でも60%程度の高い国民負担率を覚悟せざるを得ないBIを支持するのは意外に感じられるであろう。

 リバタリアンがBIを支持する最大の理由は、BIが一律・無条件であるため行政コストが小さいことと、行政の恣意性と裁量が排除できる点にある。レッセフェール――成すに任せよ――を旨とするリバタリアンが最も排除すべきだと考えるのは“政府の介在”である。現行の社会保障や社会福祉は、細かな規定に基づいて施行・運用されている。政府による介入と裁量的運営のコングロマリットのような存在である。この政府介入・裁量運営のシンボル的分野を根こそぎ更地に戻すがごときBIは、財政面では拡大が避けられないにしても、理念的には極めて好ましいということになる。

 リバタリアンは、元来は「最小政府国家」を看板にしていた。しかし近年は、こうした側面を重視して「最大限に分配する最小国家」という理念が登場してきている。

 ここでも通常の社会人の考え方とリバタリアンの考え方とのニュアンスの違いを示しておこう。先ほども述べたように、通常の人たちがBIを支持する動機は、色々な事情で貧困に苦しむ社会的弱者を救うことにある。これに対してリバタリアンにとっては、様々な形で政府/公的権力が介入・裁量することを排除できることが、BIに賛同する最大の理由である。

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中村 克己 元ルノー副社長、前カルソニックカンセイ会長