• ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
  • 日経BP

社員も会社も不幸にする「生産性向上!」という呪文

本当の豊かさを実現する“健康職場モデル”とは

2011年12月1日(木)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 「生産性を上げろ!」

 中間管理職の方なら、こんなゲキをトップや上司から飛ばされた経験が、一度はあるのではないだろうか。

 しかも、最近のその“ゲキ”とセットで使われるのが、「早く結果を出せ!」というひと言。

 効率を上げて、生産性を高め、早く結果を出せ!

 そんな無理難題をトップから突きつけられて苦労している中間管理職の方に、最近やたらとお目にかかることが増えた。

 恐らくその背景には、今年に入って難問が次々と持ち上がっていることがあるのだろう。東日本大震災、超円高、タイの大洪水、TPP(環太平洋経済連携協定)などなど。生産性とスピードをこれまで以上に意識せざるを得なくなった、というわけだ。

 生産性を上げる――。

 経営者であれば、生産性にこだわるのは当然のことだとは、分かってはいる。だが、「効率を上げろ!」「生産性を上げろ!」という言葉を聞くたびに、なぜかイヤな気分になる。うまく言えないけれど、「人」が「人」として扱われていないような気になってしまうのだ。

 そもそも生産性を上げるって、どういうことなのか?

 無駄な時間をなくして、時間効率を良くしろってこと? もっと集中力を高めて能率を上げろってこと?

 あるいは、「それまで3人でやっていたことを1人でやれ!」「少ない人数で中国人や韓国人、インド人に負けないように死ぬ気で働け!」と激務を強いるってことなのか?

 生産性を上げて、豊かになるのは会社? トップ? それとも働く人? 

 最近やたらと言われている「生産性を上げる」という言葉の意味が、申し訳ないけど私にはよく分からない。いや、果たしてその意味を理解している人がどれほどいるのだろうか。

 そこで今回は、「生産性」という言葉について、考えてみようと思う。

49歳の部長が漏らした職場の惨状

 「恐らくどこの会社でも同じだと思うんですけど、2008年のリーマンショック以降、これ以上カットするところはないくらいカットしてきました。社員の人数だって3年前の半分になっていますし、残業だって制限していますから、人件費も残業代もこれ以上減らすのは到底無理。手をつけられるところは、とことん無駄を削減してきました」

 「当然ながら、利益を増やすために営業力を高めて仕事だって増やしましたよ。でも、それで生産性が上がるかっていうとダメなんです。つまり、市場単価が下がっているんで、利益はカスカス。人数が減る一方で、以前よりも多くの仕事をこなしている。なのに、利益は増えない。忙しいから儲かっているように見えて、ちっとも数字に反映されない。今までやっていたペースよりも、短時間で多くの仕事をこなしているのに、生産性が全く向上しないんです」

 「しかも、絶対に部下から訴えられるような働かせ方はさせちゃダメ、パワハラもダメ、心理的にプレッシャーをかけるのもダメ、のダメダメ尽くしです。部下の健康は完全に守りながら、生産性も上げろっていうわけです。部下が壊れる前に、私が壊れそうですよ。管理職はみな僕と同じようにストレスを感じているから、人間関係だって悪くなりますからね」

コメント46件コメント/レビュー

内容に激しく同意します。が、最近の事情が同じかは異論があるかもしれません(国際競争の激化で、我々日本人は諸外国人に負けたら代替される様になった為)。 しかし、謎のコメントが多いですね。(2011/12/08)

「河合薫の新・リーダー術 上司と部下の力学」のバックナンバー

一覧

「社員も会社も不幸にする「生産性向上!」という呪文」の著者

河合 薫

河合 薫(かわい・かおる)

健康社会学者(Ph.D.)

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調査研究を進めている。働く人々のインタビューをフィールドワークとし、その数は600人に迫る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

内容に激しく同意します。が、最近の事情が同じかは異論があるかもしれません(国際競争の激化で、我々日本人は諸外国人に負けたら代替される様になった為)。 しかし、謎のコメントが多いですね。(2011/12/08)

身体を強くし、心を健やかにして、コツコツやりましょう。他誌に「周回遅れのトップランナー」とありましたが、日本らしさ(コツコツ)を忘れずやれば、スパートし過ぎた先頭集団が脱落してきます。フルマラソンをやっていますが、全く同じ。先ず体力と悩み事無くレースに参加できる環境作りを一年かけてやっています。大丈夫!日本には変な負債はそんなに多くないから!(2011/12/07)

「生産性を上げろ」も「すぐに結果を出せ」も、それだけでは、指示を受けた部下が思考停止に陥る可能性の高い曖昧な言葉です。上司は部下に対して、何故生産性が重要なのか、それによってどのようなメリットがあるのか、生産性改善の余地はどこに潜んでいるのか、などを具体的かつ分かりやすく説明することが何よりも重要ですし、その効果測定指針(KPI)を決めておくことも大切です。また、「すぐに」といわず、具体的なKPIの達成期限を決めて指示を出すべきでしょう。海外の企業では割と当たり前のこれらの思考ですが、多くの日本企業では曖昧なまま放置され、上司がリーダーとしての責任を果たしていないように感じます。日本では工場の生産性は高いがホワイトカラーの生産性が低いと良くいわれる所以もそこにあるように感じます。私の勤務先(外資系の日本法人)では、売上粗利益/キャッシュコスト>2.0という単純な指標を重視しています。例えば、売上が100億円で、売上総利益が40億円だとすると、人件費や経費、広告販促費など全てキャッシュコストをその半分の20億円以下に抑えることが重要となります。その中に収まらない場合は、同じ経費で売上総利益が増える工夫をする、もしくは、経費側を削減するという2つの方向でアクションを取ることになります。極めて論理的で、そこには変な感情論を挟む余地はありません。日本の企業経営も、指示することの意味まで含めて説明責任がきちんと果たせる能力を有した人材をリーダーに据える方向で人事を議論する時代に入るべきなのではないでしょうか?(2011/12/07)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

日本の経営者は、経験を積んだ事業なら 失敗しないと思い込む傾向がある。

三品 和広 神戸大学教授