• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

悪い円安、悪い金利高の幕開けか

日本国債の危険水準は?

  • 山口 義正

バックナンバー

2011年12月1日(木)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 イタリアの10年物国債の利回りが7%の危険水域に達し、ドイツ国債の入札で応札額が入札額を下回る事態に発展した。信用不安の火の手は本丸にまで広がり、なす術がないようにさえみえる。日本人にとって、これは果たして対岸の火事でしかないのか。この数日の間に外国為替市場や日本の国際市場で起きていることをみると、そうではないとの見方がじわじわと広がり始めている。

 11月28日、日本の国債市場で10年物長期国債の利回りが1%を超える水準に上昇(価格は下落)し、終値では1.065%となった。わずか1週間で0.1ポイントも上昇した。欧州での金利上昇ピッチに比べれば大したことがないように見えるが、債券の世界で0.1ポイントと言えばかなり大きい。膨大な債務を抱える日本に対して格付け会社を含む市場関係者の目が厳しくなるなかで、23日にドイツで実施された国債入札が札割れとなったことで、日本市場にも警戒感が拡大した格好だ。

 日本の国債が欧州化しないことの論拠として最も多く採り上げられるのは、発行額の9割以上を国内の投資家が購入していること。安定した消化先が控えており、しかもこれらの多くが資金の運用先が見つからずに困っている状況が挙げられている。

 しかし、果たしてそうだろうか。機関投資家は通常、債券投資にあたって投資の基準を定めている。その最たるものが格付け基準だ。日本の機関投資家の場合、「格付けがA-以上であること」と定めてあることが多い。日本が長期的にA-格を維持できなくなれば、一定の投資家は日本国債を投資対象にしていられなくなる。

 金融機関の経営に詳しい学者は「この数年、日本の機関投資家は国債暴落のリスクに身を焦がされる思いで過ごしており、日本がさらに格下げされた場合、投資対象から外されてしまうことは大いに考えられるシナリオ」と指摘する。国内の投資家に頼ってきた日本国債が、国内投資家に見放されてしまったらどうなるかは、火を見るよりも明らかだ。

 例えば一般企業の格付けが格上げされて「A-」になった時、格付けアナリストは相手企業に「おめでとうございます。これで一流企業の仲間入りです」と伝える。同じ投資適格で、1ノッチの差であってもBBB+とA-の間には大きな違いがあり、「A-」格は投資適格の中でも特に優良発行体として認められたことになる。もちろん企業と国債を単純に同列に並べて論じることはできないが、BBBゾーンとAゾーンとの間には目に見えない大きな差があるのも事実だ。

 そして、1998年の金融不安時に、日本の機関投資家がどういう投資行動をとったかを振り返ると、実はA-でさえ心許ない水準であることが分かる。当時、新たに社債を発行しようとした企業が「A-」格を取得していても、投資家の需要が集まらず、必要金額を賄い切れずに減額発行を余儀なくされたり(国債入札で言えば、応札額が入札額を割り込む、札割れの状態である)、発行そのものを見合わせたりするケースが続出した。それほど機関投資家の不安心理が増幅したのである。

イタリアは7%、日本は?

 欧州では長期国債の利回りが7%台に突入すると危険水域と呼ばれることは、これまでに指摘した。今、日本で静かに広がり始めているのは「日本の国債利回りが何%になったら即死状態になるか」(証券会社ストラテジスト)だという。日本と欧州とでは、もともと金利水準が異なるため、欧州と同じように7%が危険水域とはならないということだ。

 2009年にギリシャの財政問題が浮上して、格下げ相次いだ際、国内の機関投資家は一斉にギリシャ国債を売った。その時、日本の投資信託がギリシャ国債の持ち高をゼロにするまでの経緯を克明に記したレポートが筆者の手元にある。彼らは空売りを仕掛けて利益を得ようとしたのではなく、投資基準に合わなくなったために実需の売りを出したのだ。

コメント0

「震えるマーケット」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

コメント入力

コメント(0件)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

意外なことに、伝統的な観光地が 訪日客の誘致に失敗するケースも 少なからず存在する。

高坂 晶子 日本総合研究所調査部主任研究員