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真のリーダーには高い視点が必要だ

経団連もJAも、業界の利害を主張するだけではリーダーになれない

  • 武田 斉紀

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2011年12月5日(月)

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「企業は経済集団であるが、社会的責任を果たせ」と書いてある

 先日、日本経済団体連合会(経団連)会長の米倉弘昌さんが、会員企業で理事を務めるソフトバンク社長の孫正義さんの発言を批判した。

 経団連としてはこの夏以降、電力不足が表面化する中、所属企業の経営を圧迫しかねないとして、原発の再稼働を推進するように政府に提言してきた。

 これに対して、孫さんは11月15日に開かれた経団連の定例理事会において異議を唱えたのだ。「国民が安全・安心に不安を持つ中、経済界が利益優先でよいのか」「原発再稼働が最優先と受け取られるような発言をすべきでない」とし、省エネや再生可能エネルギーを優先すべきだと訴えた。

 米倉さんは会見で、孫さんの発言について「(理事会で孫氏は)誰からも賛同が得られず、提言は原案通り採択された」と説明した(以上、毎日新聞 2011年11月21日)。また「ちゃんとした理屈ではなく単に反対だ反対だと。困った発言だなと思った」と苦言を呈した(産経ニュース2011年11月21日)。

 私はその場にいたわけではないが、孫さんの理屈自体は通っているように思う。安全性の確認も十分にできていない状態で、原発の再稼働を提言してよいものか。それは、経団連が所属企業の利益を最優先しているに過ぎないのではないか。

 彼らは所属企業の利益を確保することは、従業員の雇用も守るために必要なのだと言うだろう。また所属企業が成長して経済が上向き、税収が増えればこの国全体も豊かになる、と。確かにそうだろう。経団連を一方的に非難するつもりはない。

 しかし経団連の対応には2つの問題がある。私たちの普段の仕事においても大いに参考になる話だ。

 問題の1つは「優先順位」だ。経団連に資する政策によって経済が上向き、雇用が確保・拡大されることは歓迎したいが、その前にやるべきこと、守るべきものがある。申し上げるまでもない、国民の命の安全と安心だ。

 米倉さんが安全だと言いきるなら質問したい。「では、今すぐご家族とお子さん、お孫さんを連れて原発の隣に引っ越せますか?」と。現時点で再稼働を進めようとしている政治家と官僚のみなさんにも、同じ質問を投げかけたい。

 実際、原発のそばに現在住んでいる人たちがいて、福島第一原発の事故を受けて、毎日不安にかられながら暮らしているのだ。現時点で原発が安全と言いきる人は、自分と家族が今すぐそこに引っ越したらというレベルで、“安全”を口にしているだろうか。

 安全とは言えないのであれば、現在そばに住んでいる人たちに対して何ができるかを考えるべきだろう。原発を推進してきた国と企業の責任として。

 そして原発事故の事後対応および原因究明、完璧な予防策(原発に限っていえば完璧でなければ世界をも巻き込む大惨事につながることは、今回の事故で日本人の誰もが分かったはずだ)を講じることだ。

 原発事故への対応自体は電力会社と国の仕事としても、経団連が取り組むべきことは変わらない。所属企業の利益を確保し、従業員の雇用を守り、税収を増やして、この国の復旧・復興を推進することだ。ただし、その“手段”として、今すぐに原発は使えないという前提で。

 少なくとも、自分自身のこととして考えた時に、現時点で安全とは言いきれないのであれば、「国民の命の安全と安心を後回しにしてはならない」という仲間からの意見を無視していいものだろうか。所属企業の利益を最優先していていいのだろうか。

 経団連が会員企業に順守を求めている『企業行動憲章』には次のように書かれている。「企業は、所得や雇用の創出など、経済社会の発展になくてはならない存在であるとともに、社会や環境に与える影響が大きいことを認識し、企業の社会的責任(CSR:Corporate Social Responsibility)を率先して果たす必要がある」。

 全く同感だ。優先順位は、経団連の『企業行動憲章』にちゃんと書いてあった。この憲章を自ら順守するというなら、自ずと優先順位は違ってくるのではないか。

コメント13件コメント/レビュー

原発は電気料金を引き上げる要素にもなっています。総括原価方式において、原価分に原発の施設や燃料(含む使用済み)の償却費が含まれ、それを押し上げています。更に、同方式において、利潤分はレートベース(資産)に比例するようになっており、その中に原発の巨大な資産額も含まれて電力会社の利潤額も引き上げています。原発をやめて火力発電を増やした場合の話しとして、燃料費の増加だけを問題にする目くらましキャンペーンが展開されていますが、原発を減らすことにより電気料金の内の原価と利潤を引き下げられる要素があることを忘れてはいけません。従って、原発廃止を進めることで電気料金が下がる可能性もあり、そうすることで中小企業を含めて消費側の負担を減らせるというシナリオも存在するということです。(今直ぐにでも、原発を遊休資産として償却費をなくせば、原価分を減らすことができます)(2011/12/10)

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原発は電気料金を引き上げる要素にもなっています。総括原価方式において、原価分に原発の施設や燃料(含む使用済み)の償却費が含まれ、それを押し上げています。更に、同方式において、利潤分はレートベース(資産)に比例するようになっており、その中に原発の巨大な資産額も含まれて電力会社の利潤額も引き上げています。原発をやめて火力発電を増やした場合の話しとして、燃料費の増加だけを問題にする目くらましキャンペーンが展開されていますが、原発を減らすことにより電気料金の内の原価と利潤を引き下げられる要素があることを忘れてはいけません。従って、原発廃止を進めることで電気料金が下がる可能性もあり、そうすることで中小企業を含めて消費側の負担を減らせるというシナリオも存在するということです。(今直ぐにでも、原発を遊休資産として償却費をなくせば、原価分を減らすことができます)(2011/12/10)

経団連は、国のリーダーどころか、業界のリーダーにもなっていない。もっと言うと自社のリーダーであるかにも疑念が残る。例えば、経団連が進める法人税減税と消費税増税。消費税でメリットが得られるのは、戻し税などを教授できる輸出企業(特に大企業にとっては都合が良い)であり、国内が商売相手の中小零細企業にとっては事務経費が嵩むだけでメリットはない。それどころか、ただでさえ頭打ちの国内消費が更に減退して内需企業はより厳しくなるであろう。つまり大企業のための消費税増税なのである。しかも、消費税増税は国内分の売り上げを減らして営業利益や経常利益を減らす(だから雇用や従業員給与の増加にも繋がらない)が、法人税は税引前利益にかかるので同税の減税は役員賞与を増やすための原資になりえる。(2011/12/10)

何処の企業も利益・金・金でしょ。世の中そっゆうものですよ~その様な事は有りません。と言うなら何故精神患者が増えて過労死もふえてるのですか?とおもいます。(2011/12/07)

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三品 和広 神戸大学教授