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「イスラム法皇」の三度の滅亡

カダフィの最期とグローバル・シナリオ(7)

2011年12月6日(火)

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 今回のシリーズ、実のところノーベル賞の発表と授賞式の間で、数年前はここで「日本にノーベル賞が来る理由」という続き物を書いたのを本にしたりもしましたので、欧州から見た中東、という観点で書き進めてみようと思っていたのですが、10月11月のユーロ情勢の推移は正直なところ予想を上回り、ポルトガルやギリシャからイタリアを経由してフランス・ドイツの母屋まで火事が類焼しつつある現状、正直なところ参ったな、と思っています。

 音楽の仕事を日本とドイツを往復しながらしていますので、ドイツの経済情勢は自分の身近な環境にも直撃があります。すでに日本国内では「仕分け」以降、補助金に頼っていたクラシック音楽全般は大変厳しい状況だったところに3.11以降の展開、加えてドイツ、欧州もさまざまなスポンサーの引き上げなどあり、細かな事は記しませんが、本当に予断を許さない状況になってしまいました。

 ここで「イスラム原理主義」なるものが、後ろに控える背景とともに意味合いが変わってきた、というところで今回のシリーズをまとめながら、次の話題(ユーロ念頭の通貨と信用の問題)に繋いで行きたいと思っています。

管理通貨制度と宗教

 いきなりですが「管理通貨制度」がキーだと思うのです。もっといえば、変動相場制の下での管理通貨制度というべきですが、その入り口だけちょっと考えてみましょう。

 「管理通貨制」を考えるには、その対概念を考えればよい。「本位制」です。金本位制、銀本位制など、本位制をとる正貨の準備高によって発行量が拘束されますが、管理通貨制度の下では行政府の通貨政策によって銀行券の発行量がコントロールされ、またその貨幣価値は中央銀行が実施する金融政策によってコントロールされる。あらゆる教科書に書いてあるような話で、何をいまさら、とお叱りを受けそうですが、「常識の源流探訪」のいつもの手筋ですので、しばらくお付き合いを。

 各国の中央銀行の実施する金融政策は、各国政府の行う財政政策と並んで経済政策、つまり「経世済民」の上で政府・中央銀行が行うオペレーションの最大の柱になる。当たり前のお話です。「価値」を定める事ができる中央銀行のオペレーションとしては物価安定策や景気浮揚策、具体的には利率の変更や公開市場操作などで金融の引き締めや緩和が実施される、また政府のオペレーションとしては公共投資などの歳出面と、税制そして国債発行の歳入面があるわけですが・・・これまた入り口以前みたいなお話になりますが、例えば各国が発行する国債の償還期限と利率、あるいは中央銀行がコントロールする公定歩合、いずれも「利子率」であるという当然の前提を、見直してみる必要があると思うのです。

 これって、要するにお金の貸借に利子がつく、そのコントロールということですよね。これ、厳密に教義に従うなら、ユダヤ教でもキリスト教でもイスラム教でも禁止されている金融業そのもので、それによっていま、グローバル・システムが動いているという、基本的な事実、あまりに当たり前すぎて、何語でもこんな話書いてあるのを見ないのですが、「イスラム原理主義」という問題を考える上で、きわめて重要なポイントになっているように、素人ながら、子供の頃からずっと思ってきたものです。

 端的にいうなら、キリスト教やイスラム教を原理的に捉えれば捉えるほど、管理通貨制度下のグローバル経済で、金融面で優位に立ちにくいという原理を、押さえておいてよいのではないかと思うのです。

近代銀行の源流探訪

 欧州の近代的な銀行は17世紀、英蘭戦争期のイギリスに起源をもつとされますが、その詳細はこの先に考え直してゆく予定です。さて、これに少し先立つエリザベス朝期のロンドンで活躍したシェークスピアは「ヴェニスの商人」で「ユダヤ人の金貸しシャイロック」を醜悪に描きます。どうしてユダヤ人が、禁止されているはずの「金貸し」ができたかといえば、異教徒相手の金融はよかったんですね。世界宗教としての広がりをもちにくいユダヤ教は、ユダヤ教徒の間での、利子を伴う金銭の貸借を禁止していた。しかし相手が異民族であれば・・・つまりローマ人でもフェニキア人でもインド人でも、あるいはキリスト教徒でもイスラム教徒でも・・・金融を行うことができた。

 近代ヨーロッパの商業銀行の大本は、冒険船団的な海洋貿易のリスク保障のため北イタリアでその芽を吹いたとされます。ジェノヴァやフィレンツェで行われた「机Banco」の上での取引が銀行Bankの語源になっているらしい。のちのち近代銀行の大本になるロンドンで活躍したシェークスピアでさえ、エリザベス朝期には「ヴェニスの商人」で、冒険貿易船の難破リスクと「金貸しユダヤ人」の物語を描いている。

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