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政治家は「選挙屋さん」に陥った

御厨貴・東京大学先端科学技術研究センター教授に聞く【第4回】

2011年12月7日(水)

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 毎年毎年クビがすげ変わる日本の首相。

 そもそも日本の首相の任期は何年だったのだろう……。答えは、「憲法上定められた任期はなし」。つまり、続けようと思えば法的には何年でも首相を続けられるわけです。ところが、現在は1年続く首相の方が珍しいときています。なぜ日本の首相の器は、小さくなってしまったのか?

 これまでの対談から、首相育成システムの崩壊や、政策評価できないマスコミの政治報道など、さまざまな要因が浮かび上がってきました。

 第4回目の今回は、選挙をはじめとする政治制度そのものが抱える課題を考えます。どうやら日本の政治制度は、首相の器を小さくしてしまう構造的な問題をはらんでいるようです。

多すぎる選挙が、首相の命を縮めている

池上:表で比較すると一目瞭然ですが、日本の首相の実質的な任期は、米国や英国、フランスなど他の国々の首相や大統領と比較すると、あまりに短いですよね。

画像をクリックすると全体の表をご覧いただけます

御厨:そうなんです。米国や英国の歴代大統領や首相の名前のほうが、ここ10数年の日本の歴代首相の名前より、日本のみなさん、おぼえていらっしゃるかもしれません(苦笑)。

池上:最近に限らず、歴代の首相の多くが、2年ないし3年の任期を全うすることなく辞めていきました。それどころか最近では、鳩山由紀夫元首相が1年で辞めて、残りの任期を引き継いだ菅直人前首相が再び辞め、野田佳彦首相が引き継いでいる。

 民主党政権になって、もう3人目の首相です。これでは継続的な政策を執行するのは困難と言わざるを得ません。単に、日本だけが「首相の器が小さい」と言い切れない要素もありそうです。

 そもそもの話、日本の政治をとりまく制度自体に根本的な問題があるような気がするのですが――。

御厨 貴(みくりや・たかし)
1951年東京都生まれ。1975年東京大学法学部卒。同助手、東京都立大学法学部教授、ハーバード 大学客員研究員、政策研究大学院大学教授を経て現職。復興構想会議議長代理、TBS「時事放談」キャスターも務める。主な著作に、『政策の総合と権 力』(1996年、東京大学出版会)。『馬場恒吾の面目』(中央公論新社)などがある。
(写真:大槻 純一、以下同)

御厨:同感です。日本の政治制度には、首相を短命にしてしまう構造的な欠陥が複数存在します。なかでも最大の問題のひとつは、「ニッポンの多すぎる選挙」です。

 まず、衆議院議員選挙からみてみましょう。本来は4年に1度と定められていますが、戦後、任期満了で選挙を実施したのは三木武夫内閣のときの1回と、麻生太郎内閣がそれに近いですね。あとはすべて、任期が満了する前に解散総選挙となってきました。次に参議院選挙。こちらは任期が6年ですが半数改選で3年ごとに選挙があります。さらに、そこに地方選挙が加わります。これは間違いなく4年に1度やってきます。

 以上を全部重ねあわせると、日本国内ではほとんど毎年なんらかの選挙があるわけです。その上それぞれの政党内のいわゆる党首選挙が加わります。かつての自民党や今の民主党にとってみれば、これが事実上の首相決めの選挙です。自民党党首の任期は3年。民主党代表は2年ですが、現在3年に伸ばすことを検討中だそうです。

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「政治家は「選挙屋さん」に陥った」の著者

池上 彰

池上 彰(いけがみ・あきら)

ジャーナリスト

1950年生まれ。慶応義塾大学経済学部卒業後、NHK入局。報道局主幹を経て、2005年3月よりフリージャーナリストとして活躍中。2012年4月から東京工業大学で東工大生に「教養」を教えている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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