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改めて心に刻むべきデータ分析の限界

それを補うWhat ifシナリオという手法

2011年12月9日(金)

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 我々のような経営コンサルタントの仕事の特徴の1つ、それは、徹底したデータ分析と論理の組み立てだ。欧米で登場し、発達した業界であるからだろうか、自然科学や社会科学の分野で用いられるようなデータ収集・分析、そして論理構造にこだわったモデルの構築が基本中の基本だ。そのうえで、将来に向けた示唆を出し、極めて論理的な提言を作り上げていく。

 もちろん、クリエイティブなアイデアを出すプロセスでの非論理的な作業、あるいは人や組織を本当に動かすための、感情面、心理面への目配り、といった形で、ソフトなスキルも、当然求められることになる。しかし、基本的なデータ分析・論理構築の重要性がないがしろにされることはない。

 興味深いことに、日本語だけで教育を受けてきた人たち(私も含めて)は、多くの場合、この極めて左脳的なデータ分析・論理構築の基礎作りに苦労することが多い。個人差があるものの、理科系出身の人でもそういうケースが大半だ。

 欧米の新人コンサルタント(あるいは、高校・大学と欧米で高等教育を受けた日本人)と比較すると、大ざっぱに言えば、1~2年分余計に徒弟期間を積む必要がある、という感覚である(その後、猛スピードでキャッチアップし、場合によっては追い越していく、というパターンが見受けられるのも面白い。一定の基礎ができた後は、日本的な感情・心理面へのセンシティビティがモノを言うのかもしれない)。

 何の証拠もないのだけれど、個人的には、日本語という言語の成り立ち、そしてそれをベースにした教育システムと文化に起因するのではないかと思っている。

1人前のコンサルタントに共通するスタンス

 苦労して身につけるだけに、コンサルタントが陥りがちな誤りは、データそのものの、あるいはデータを活用するモデルの限界を、つい忘れてしまいがちなことだ。当たり前の話だが、現時点で得られるデータは、すべて過去の事象をデータ化したものだ。従って、そのデータをもとにした分析やモデリングが、将来も有効であるという保証はどこにもない。

 特に、企業を取り巻く環境が安定的な時期ならともかく、大きな変化が次々と起こる時代には、何度も何度も「このデータやモデルは、過去のものでしかない」という前提を思い起こしたうえで、うまく使いこなしていくしかないわけである。

 ある時、臨床心理学の大家に来ていただき、コンサルタントの「聞く力」を高めるための研修をしていただいたことがある。この時にうかがった話は、どれも示唆に富むものだったが、一番印象に残っているのは、「将来は絶対に読めないのだから、その前提で仕事をしなければいけませんよ」というものだった。

 (過去の経験をもとに)こうなるはず、あるいはこうならないとおかしい、という頭と心のこり固まりが原因となって、さまざまな問題を引き起こすケースは、臨床心理学の現場でも、多々見受けられるのだろう。コンサルタントという仕事について、少し説明させていただいただけで、このあたりの危険性が同様に存在することを敏感に察知されたに違いない。

 逆説的だが、本当に一人前のコンサルタントは、(頭で分かっているだけでなく)骨の髄まで、「将来は、過去の延長線上にあるとは限らない」ということを分かったうえで、「たかがデータ、されどデータ」というスタンスで分析を行い、将来を考えていくことができる人、ということになる。

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「改めて心に刻むべきデータ分析の限界」の著者

御立 尚資

御立 尚資(みたち・たかし)

BCGシニア・パートナー

京都大学文学部卒。米ハーバード大学経営学修士。日本航空を経て現在に至る。事業戦略、グループ経営、M&Aなどの戦略策定・実行支援、経営人材育成、組織能力向上などのプロジェクトを手がける。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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