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「英国の光栄ある孤立」から振り返る「分割統治」

カダフィの最期とグローバル・シナリオ(8)

2011年12月13日(火)

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 こういう結果になるとは、一定の範囲で予想していましたが、このように鮮やかな事になるとは正直思っていませんでした。

 何のことか? EUサミットです。ユーロ圏の行方を巡って全世界が固唾を呑んで見守ったブリュッセルの首脳会議、「27カ国基本条約財政協定」は英国の強硬な反対で成立せず、奇しくも「イギリス経験論」と「大陸合理論」が鋭い対照を見せることになりました。

 陸続きの欧州大陸サイドが、かつてのさまざまな怨讐を越えてシッカリとまとまったのは、なんというか、感動的なエポックで、財政規律強化の23カ国合意成立、欧州安定メカニズムESMも速やかな発足が確認されるなど、今回の会議が確かに成果を上げています。と同時に、23カ国合意は26カ国まで拡大する可能性があるとも発表があり、残り一カ国、つまりイギリスの「孤立」が際立つ形となってしまった。

 ここで、思い出すなと言われても、どうしても頭をよぎるのが、20世紀初頭まで一貫してイギリスが守ってきた「光栄ある孤立」政策です。じっさいイギリスは1902年に日英同盟を結ぶまで一貫して欧州本土と一線を画し、また当時の明治政府日本は、あの光栄ある孤立のイギリスが日本と手を組んでくれた!と志気があがり、日露戦争以降の拡張政策に弾みがついた経緯がありました。ユーロ圏でのイギリスの姿はTPPでの日本と重なって見える部分がある気もします。

 ここ一連、考えてきた中東と欧州の問題、イギリスのグローバル・ストラテジーから振り返ると、確かに見えてくるものがあります。

大英帝国の世界戦略

 この5月、オサマ・ビン・ラディンとされる人物が襲撃され殺害されたのはパキスタン、イスラマバード近郊の隠れ家でのことでした。アル・カイーダのトップが潜伏するくらいですから、パキスタンの土地柄はイスラム原理主義との親和性が決して低くないことが察せられます。

 さて、このパキスタンという国が成立したのは第二次世界大戦後のことになります。さてしかしパキスタンって歴史的には一体なんだったのか、と振り返るなら「イスラム=インド」という特徴が浮かび上がり、ここから直ちにインドのイスラム時代、ムガール帝国と、それを解体した大英帝国のインド支配が見えてきます。

 現在の「インド」を東西から挟むような両翼「パキスタン」と「バングラディシュ」は、ともにかつてはインド=イスラム、ムガール帝国の領土であったものが、19世紀から20世紀前半の激動の中で、ヒンドゥーのインドと分かれて今に至っているもので、同じ大英連邦圏にありながら、分離独立直後の「第一次印パ戦争」以来、今日まで政治的緊張の高いエリアになっているわけです。

イスラム同士での自爆テロ

 ちょっとここで、少し違う話題から考えて見ましょう。

 12月6日、アフガニスタンの首都カブールにあるイスラム教シーア派のモスクを標的とした自爆テロが起きました。女性や子供を含む60人以上が死亡するという凄惨な事件で、アフガニスタンのカルザイ大統領は9日、犯行を認めているパキスタンのイスラム教スンニー派原理主義過激派組織「ラシュカレジャングビ」に関して「パキスタン政府と協議と真剣に協議する」旨の声明を発しました。

 同じイスラム教内でも、オーソドックスというべきスンニー派と、イランつまりペルシャを中心拠点とするシーア派との間には、長年にわたる深刻な対立と、血で血を洗う因果があります。これは、16世紀の西欧キリスト教でカトリックとプロテスタントが凄惨な宗教戦争の殺戮を繰り返したのと類似の状況といえるかもしれません。

 イスラムの話題は、どうしても日本で常識として広まっている情報に限界があり、毎回細かに基礎からお話したほうがよさそうです。前回は金利を巡る進んだ話題に最初に触れたため、入り口の部分で文意を読み損ねられた方もあったようですので(そういう初歩的なコメントを頂きました。スンニーと一言書けばそれで判るものとしたのが、やや敷居が高かったかもしれません)、繰り返しが多くなるかもしれませんが、できるだけ丁寧にお話するように努めます。

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