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「えっ、3人に1人!」 無視され続けた女性の貧困問題の窮状

格差があるという事実にまず寄り添おう

2011年12月15日(木)

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 「こんなに働いているのに、ちっともラクにならないじゃないか~」

 こんな悲鳴を、誰もが一度は上げたことがあることだろう。

 だが、そんな愚痴めいた悲鳴ではなく、本当に心底、身体を酷使して働きながらも、所得が少なく生活が苦しい人、いや、苦しい女性たちが増えている。

 「単身女性、3人に1人が貧困 母子世帯は57%」といったショッキングな見出しが新聞に踊ったのは、先週のこと。国立社会保障・人口問題研究所の分析で、勤労世代(20~64歳)の単身で暮らす女性の3人に1人が「貧困」であることが分かった、と報じられたのである。

 深刻な問題であるにもかかわらず、この問題を報じたのは朝日新聞だけだった(私が調べた限りではあるが……)。横並び報道が多い中、なぜこのニュースを報じたのが一紙だけだったのか、その理由は分からない。

 特ダネ? そうだったのなら、「よく報じてくれた」と思う。

 だが、実際はどうなのだろうか? こういう情報こそ、広く知らせる必要があるのに、広く報じられていないのは、なぜなのだろうか。

 少なくとも、誰それが誰を批判したとか、選挙になりそうだとか何だとかいう情報よりも、大切なことだと思うのだが、マスコミにとってはあまり価値ある情報ではなかったのだろうか……。

広がる貧困の男女格差

 いずれにしても、働く1人の日本人として、とても大切な情報だと思うので、改めて内容の詳細を紹介します。

 2007年の国民生活基礎調査を基に、国立社会保障・人口問題研究所社会保障応用分析研究部の阿部彩部長が相対的貧困率を分析した結果、1人暮らしの女性世帯の貧困率は、勤労世代で32%、65歳以上では52%と過半数に及んでいることが明らかになった。

 また、19歳以下の子供がいる母子世帯の貧困率は57%で、女性が家計を支える世帯に貧困が集中し、貧困者全体に女性が占める割合も57%と、1995年の集計より男女格差が広がっていた。

 相対的貧困率とは、すべての国民を所得順に並べて、真ん中の人の所得の半分(貧困線)に満たない人の割合を指す。厚生労働省では、相対的貧困率における貧困線を114万円、OECD(経済協力開発機構)の報告では、日本の貧困線は149万7500円と公表している。

 ちなみに、2009年の全世帯の平均所得金額は、549万6000円。母子家庭は177万円程度が平均年収だとされている。

 さて、これらの数字を見て、どのような感想を持つだろうか?

 「また不安をあおるようなことばかり書きやがって。日本の貧困率が高いとか何とか言ったって、携帯を持っているような人たちは貧困とは言えないんじゃないの?」

 そんなことを、正直、内心思った人もいるはずである。

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「「えっ、3人に1人!」 無視され続けた女性の貧困問題の窮状」の著者

河合 薫

河合 薫(かわい・かおる)

健康社会学者(Ph.D.)

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調査研究を進めている。働く人々のインタビューをフィールドワークとし、その数は600人に迫る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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