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社長が抱く「情報システムの幻想」

「動かないコンピュータ」を防ぐための私見

  • 津川 雅良

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2011年12月15日(木)

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 「社長がいつ死んでも困らない会社にしないといけない」。

 本連載第1回の書き出しです。社長の私が出社しなくても商売をしていける「社長不要の会社」を目指してあれこれ取り組んできました。

 社長を不要にする、つまり社長の仕事を減らしていくカギの1つは情報システムです。ところが現実にはシステムをうまく使いこなすどころか、「動かないコンピュータ」があちこちで出現しております。

 「動かないコンピュータ」とは日経コンピュータ誌が長年連載している記事の名前です。情報システムを巡る失敗事例が報じられています。SE(システムエンジニア)をやっていた頃から反面教師としてよく読んでいたものです。

 社長という企業側、SEというシステム開発側、両方の経験を踏まえ、「動かないコンピュータ」への私見をまとめてみます。

情報システムの幻想が発生する訳

 困ったことに、企業側と開発側は情報システムについてそれぞれ意見を持っているものの接点が見当たりません。これが長年の問題です。

 企業側と開発側が同じ問題や悩みを同じ視点でとらえ、その解決手段として情報システムを提供する、そのような関係が結べればと思いますが実際にはなかなかです。

 情報システムを使う企業側はしばしばこう言います。

 「IT業界でしか通用しない専門用語がまかり通っている」「言われたことしか対応せず、提案がない」「欧米の手法をそのまま用いており、国内の実情と一致しない」。

 これに対し、開発側はよくこう言います。

 「経営トップがシステムを理解していない」「発注者がシステムの要件をまとめていない」「コンピューターに過度の期待がある」。

 私は経営者として情報システムを使う企業側におりますが、あえて企業側の現状をもう少し考えてみようと思います。

 企業側には経営者から現場の利用者まで、次のような「システムの幻想」があります。

  1. コンピューターは機械だから、自動的に処理してくれる
  2. 我々は客、開発者は業者だから、開発側で全部用意してくれる
  3. 業務が簡素化されるのだから、経費は減って当たり前

 もう少し考えると、こうした幻想は日本の現状から出てきています。上記の幻想に対応させて列挙してみましょう。

  1. 日本の製造業は自動化によって評判を得た
  2. 誤解に基づく「お客様は神様」という風潮がまかり通っている
  3. 企業のビジネスモデルが陳腐化している

 三番目について少し解説します。後述しますが、私が属している問屋の世界を見ますとビジネスモデルを見直さないともはややっていけません。おそらく他の業種業界も同じでしょう。

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