また、1年が終わろうとしている。
今年ほど、「不安」という言葉を耳にした年はなかった。地域によっても、年齢によっても、職種によっても、はたまた人によっても、温度差もあれば不安の度合いも違ったけれど、みんなが、誰もが、不安になった1年だったのではないだろうか。
不安の時代――。そんな言葉が悲しいまでにしっくりきてしまった年だったと思う。
ただ、これまでの年末と同じように、「また」1年が終わろうとしている今。改めて考えてみると、「不安」が世の中に鬱積するようになったのは、何も今に始まったことじゃない。
バブルが崩壊し、山一証券が倒産し、リストラが慣行され、中小企業の経営者の方たちの自殺が相次ぎ、年間の自殺者数が3万人を超えたころから、不安はいつも私たちの身近にあって、不安な気持ちがどんどん蓄積されていった。
若者たちは、「就職できなかったら、どうしよう」と不安を抱き、
オヤジたちは、「まさかリストラされないよね?」と不安を感じ、
40歳を過ぎたシングルたちは、「このまま1人かも」と不安に駆られ、
母親たちは、「子供をちゃんと育てていけるだろうか」と不安になった。
そして、みんなが「不安だ」「不安だ」と言っているうちに、東日本大震災が起こり、それ以上の不安が押し寄せてきてしまったのだ。
私自身、こんなに不安を感じた1年はなかったように思う。「変わらなきゃ」。そんな気持ちにもなった。
なのに、今までと何ら変わることなく時間だけは過ぎ、「また」1年が終わろうとしている。明らかにこれまでの1年とは異なる年だったのに、過ぎゆく時間はこれまでと同じ。何だか妙な気分、だ。
変わらないことへの安心感と、変わらなかったことへの不安感。ここ数日、感情が見事に割れているのである。
重く不安でたくさんのジレンマを抱えた2011年
何だかしょっぱなから重たい感じになってしまったのだが、今回は2011年最後のコラム。「何を書こうか……」と、この1年でお会いした人々、貴重な思いや経験を語っていただいた方たち、取材させていただいた会社の皆様などなど、多くの方たちに思いを巡らせていたら、こんな文章になってしまった。とはいえ、ただでさえ年末で、バタついているし、忙しいし、寒いわ、暗いわ、と気が滅入る時期に、重い書き出しで申し訳ない。
ただ、それほどまでに、重く、不安で、たくさんのジレンマを抱えた1年だったのである。
で、結局何を書こうか、と考えた結果、暗い気持ちよりも明るい気持ち。後ろ向きの話よりも、前向きの話。不健康よりも、健康。弱みよりも、強み。不幸よりも、幸せ――。
そんな気持ちや状態を引き出す、ヒントとなる話をしようと思う。
あれは、私が国際線のCA(客室乗務員)になって2年目の夏のこと。満席のロスアンゼルス線で、一生忘れることができない出来事が起きた。
繁忙期のロス線といえば、海外に出かける家族連れがほとんどなのだが、その中に一組の老夫婦がいらっしゃった。CAは、担当するクラスが事前に決められ、その中でさらに詳しく担当するキャビンというのが決められているのだが、そのご夫婦は、私の担当するキャビンに乗っていらっしゃったお客様の一組だった。
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博士(Ph.D.、保健学)・東京大学非常勤講師・気象予報士。千葉県生まれ。1988年、千葉大学教育学部を卒業後、全日本空輸に入社。気象予報士としてテレビ朝日系「ニュースステーション」などに出演。2004年、東京大学大学院医学系研究科修士課程修了、2007年博士課程修了。長岡技術科学大学非常勤講師、東京大学非常勤講師、早稲田大学エクステンションセンター講師などを務める。医療・健康に関する様々な学会に所属。主な著書に『「なりたい自分」に変わる9:1の法則』(東洋経済新報社)、『上司の前で泣く女』『私が絶望しない理由』(ともにプレジデント社)、『







