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2012年、金利低下で生損保に逆ざやリスク迫る

格下げの影響がジワリと広がり始める

  • 山口 義正

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2011年12月28日(水)

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 年末年始の休暇シーズンが到来し、このところ世界の株式・債券相場の動揺が一服している。欧州中央銀行(ECB)が12月21日、初の銀行向け3年物資金供給オペを実施。これがひとまず市場の不安心理を和らげた。

 ECBのオペに対して、市場予想を大きく上回る資金需要が集まり、過去最高となる4891億9000万ユーロ(約50兆円)を供給した。ユーロ域内の銀行は厳しい資金繰り環境は来年も続くと見られているが、この日の欧米の株式市場は「資金面で不安を抱える金融機関は、まだこれほど多くあるのか」と驚く一方、「ECBがクリスマスプレゼントをくれた」として底堅く推移。欧州で新たな信用収縮が発生するとの懸念は、オペの結果を受けてひとまず後退した格好だ。

 この新たな措置は「金融機関に大量の資金を供給することで、ECBの代わりにギリシャ国債やイタリア国債を買って下さい、という意味」(大手証券ストラテジスト)と受け止められているが、ECBの思惑通りにいくかどうかは心もとない状況だ。海外で金融機関の自己資本比率を高めるよう求める動きが活発化している中、資産を増やせば自己資本比率を圧迫してしまううえ、リスクの高いギリシャやイタリアの国債を買えるかといえば「ノー」(同)だからだ。

 国内外の金融市場は、まだまだ問題が山積している。今後、今年以上に注目される公算があるのは格付けだ。

 銀行間取引市場では、個人や企業から運用資金を集めている証券会社や生損保は、資金の出し手との位置づけだ。山一証券が1997に自主廃業に追い込まれたのは、格付けが引き下げられたことによって、資金が流出したことが一因となった。資金の出し手から「資金の受け手」に回ってしまい、その時には信用力に対する不安から資金調達が思うようにできず、資金繰りに窮してしまったのだ。

 国内にはすでに投資適格の最下限に引き下げられている証券や、今後格下げ方向で見直しが進められている証券会社もあり、来年の相場動向にとって大きな不安要因になっている。これは欧米市場も同様だろう。

 今のところ表面化していないが、欧米生命保険会社の経営問題も気掛かりだ。

 低金利時代が長く続き、利息収入が減って運用成績が悪化すれば、かつての日本の生損保と同じ轍を踏む恐れがあるからだ。

 日本では2000年に生損保の経営危機が表面化。同年10月には協栄生命保険と千代田生命保険が相次いで破綻した。不動産投資への過度な傾斜に加えて、バブル期にかき集めた保険契約で運用成績が悪化したことにより経営が立ち行かなくなった。当時の日本と同じ現象が、欧米で起こらないと言い切れるだろうか。噴出するのは時間の問題ではないのか。

 1年半ほど前に外資系生保の営業担当者からこんな話を聞いたことがある。

 「高金利時代にポートフォリオに組み込んだ債券が償還時期を迎えており、代わりに金利の低い債券を組み入れざるを得なくなってきた。逆ザヤになってしまえば、新規の保険契約者にはこれまでのように高い予定利率を維持できない」――。

 予定利率とは、生保が保険契約者に対して契約時に約束する想定運用利回りのことだ。ポートフォリオに組み入れる債券や株式の利回りが低下し、想定運用利回りを下回る状態が続けば生保の経営を圧迫する要因になる。欧米でも生保の運用難がとうに経営を蝕み始めているのである。

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