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ムダになったモノを集めて幸せと成す

鳥取県智頭町の疎開保険作戦

  • 吉田 就彦

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2012年1月6日(金)

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 ヒット商品やヒットサービスが自社にはなかなか出ないと嘆く経営トップの悩みや、結果がなかなかついてこないことから焦燥感を感じている現場の原因は、実はいつの間にか社内にはびこった、行き過ぎた効率化の後遺症なのではないか。

 ITを駆使する効率的経営を指向するあまり、せっかく生まれようとしているヒットの芽を摘み、ビジネスチャンスにチャレンジする気運がそがれているのではないか。

 現在の日本の閉塞感の本当の原因は、見える化の行き過ぎが生む衆人環視から起こる「最適化の罠」にはまっていることなのではないか。

 この連載コラムでは、その罠にはまらなかった好例や、はまってしまった悪例を交えて論じることで、日本が元気になっていく智恵のひとつとして「最適化の罠」からの脱却を提言する。

 第7回目のテーマは、もっとも人口が少ないと平井伸治県知事も宣伝している過疎の鳥取県の中で、逆のその過疎が生むゆとりある空間や温かい人のつながりを逆手にとって、「疎開保険」というコンセプトで都会と田舎をネットワークして町の活性化に取り組んでいる鳥取県智頭町の挑戦に迫る。

日本で最も人口が少ない県「鳥取県」

 皆さんは、鳥取県の事をどれだけご存じだろうか。今や「ゲゲゲの女房」の大ブレイクで、年間400万人の観光客が訪れ、2011年の第3回観光庁長官表彰受賞を受けて話題となった「水木しげるロード」のある境港市や、往年の大観光地鳥取砂丘は思い浮かぶものの、島根県とどっちが東側に位置しているのかをはっきり言える人は少ないのが実態ではなかろうか。

 羽田空港に向かうモノレールの浜松駅に張られたポスターでは、県知事自ら、「日本で一番人口が少ない県」とアピールしている状況で、わずか59万人の県であり、それは84万人の世田谷区よりも遥かに人口が少ない県であるということを意味している。

 そんな鳥取県の東南に位置し、1000メートル級の中国山脈の山々に囲まれて、総面積の9割以上を山林が占めているのが「鳥取県智頭町」である。国定公園那岐山からは、西に大山、北に鳥取砂丘が望める文字通り自然の宝庫であり、現在だんだん無くなりつつある日本の原風景をいまだに残している土地でもある。

 ある意味では自然しかないこの土地が今注目を集めている。それは、杉以外何にもないと思われている智頭町だからこそ可能となる逆転発想が生んだ地域未来への可能性ともいうべきものなのだ。

智頭町疎開保険とは何だ?

 そんな田舎の町智頭町が生み出したユニークな商品がある。それが智頭町疎開保険だ。この日本初の保険は、災害を切り口とする地域間交流、物流、商流による地域おこしとして、智頭町が独自に企画した保険商品である。もし加入者の住まいの地域が地震などの災害に見舞われた時に備えて、その際にストレスの多い避難場所から智頭町へ疎開することを提案する保険で、7日間智頭町で生活できる場所と食事を確保して提供するという内容になっている。

 募集主体は智頭町役場であり、対象は日本在住の方ならだれでも可で、災害救助法が発令された地域の加入者に、1泊3食7日分の宿泊場所と食事の提供をうたい、1人1口年間1万円という保険料が提示されている。

 その疎開の最中は、キャッチフレーズの「みどりの風が吹く疎開のまち」のとおり、自然に親しみ、ゆったりと過ごしてもらおうというわけだ。加入者特典には智頭町自慢のこだわりのお米や野菜などの特産品が送られてくる。至れり尽くせりのサービスだ。

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