「統計学者吉田耕作教授の統計学的思考術」

日本が第二のギリシヤにならないために

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2012年1月18日(水)

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 現在、日本政府の財政は危機的な状況にあるのは周知の事実である。
 今回の表やグラフは、日経ビジネスオンライン読者にとっては真新しい物ではないかもしれないが、日本の財政状態の全体像を再確認して頂くために、まとめてみた。

 すべての表や図は財務省の平成23年9月版「日本の財政関係資料」に加工をしたり、計算しなおしたりしたものである。

 図1は、平成2年ぐらいから一般会計歳出が一般会計税収を毎年上回っており、しかも
その差は毎年大きくなっていることを明白にしており、この差は国の財政状態が年々悪化していることを示している。

 しかも歳出の増加に対し、税収は確実に減ってきており、税収の減額をおぎなうために公債が増えている。 自分の収入が減っているにも関わらず、借金を増やすことにより支出を増やし続けているのである。

 その結果、図2において明らかなように、対GDP比で日本の債務残高は毎年増えており、現在ではGDPの2倍を超えていて、国際比較では群を抜いて世界一である。これを個人に置き換えてみると、借金が年収の2倍以上になっているということである。これはどう見ても持続可能な状態ではなく、時間の問題で日本は破綻するであろう。

 もちろん、国の財政は個人の財政と異なる点はかなりある。しかし、基本は以上の状態なのである。

 そもそもなぜ、日本はこんなに借金漬けになったのであろうか。

 それをもう少し詳しく知るために、平成23年度の一般会計予算を見ると表1のようになる。
 表1では、平成23年度の一般会計予算で全歳入の内、税収は43%だけであり、公債費は47%である。つまり23年度では新たな借金が税収よりも多い。

 歳出においては、全歳出に占める国債費、つまり国の借金の元利金返済が23%である。それに社会保障費が28%で、この2つの歳出で全歳出の51%にもなる。

 これを個人の家計で例えるならば、税金や社会保障費を支払った後の手取り収入のうち、サラ金に対する元利合計の支払いと老齢の両親の生活支援で半分以上が消えてなくなるのである。自分の生活費や子供の教育費や家賃や住宅ローンの返済に掛かる住居費、その他すべての費用は手取り収入の半分以下で賄わなければならないのである。

 国の財政状況は正にこういう瀬戸際の状況にあるという事を明確に理解する必要がある。もちろん社会保障費の全額が年金ではないが非常に大きな部分を占めている。

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著者プロフィール

吉田 耕作(よしだ・こうさく)

カリフォルニア州立大学名誉教授、ジョイ・オブ・ワーク推進協会理事長。経営学博士。1938年東京生まれ。1962年早稲田大学商学部卒業。68年モンタナ大学で修士号(ファイナンス)を取得。75年ニューヨーク大学でデミング博士、モルゲンシュタイン博士に学び、博士号(統計学)を取得。75年からカリフォルニア州立大学で教鞭をとる。99年青山学院大学国際政治経済学部教授。2001年から2007年まで同大学院国際マネジメント研究科教授。86年から93年まで、デミング4日間セミナー「質と生産性と競争力」でデミング博士の助手を務めた。統計的な考え方をベースとして、米国連邦政府、ヒューズ航空機、メキシコ石油公社、NTTコムウエア、NTTデータ、NECなどを指導。著書に『国際競争力の再生』『経営のための直感的統計学』、『直感的統計学』、『ジョイ・オブ・ワーク――組織再生のマネジメント』、『統計的思考による経営 』など



このコラムについて

統計学者吉田耕作教授の統計学的思考術

「統計学」と聞くと、難しい数式とグラフを思い浮かべ、抵抗感を持っている人が多いでしょう。とくに文科系の人であればその思いは強いはず。でも、一度、統計学の視点で世の中を見渡してみると、物事は大きく違って見えてきます。数学が苦手だった人でも吉田教授の“講義”なら大丈夫。難しいことはありません。経営とビジネス、そして人生に役立つ統計学です。

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