• ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
  • 日経BP

日本は空海の出現を待っている!

2012年1月13日(金)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 戦後、最も記憶に残る年になってしまった2011。そして、ほとんどの日本人が最も考える年になった2011。

 そして年が明けた2012、日本人の心にあるものは、いったい何でしょうか?

 怒り、不安、苛立ち、絶望という負の感情。また一方では、昨年の漢字に象徴される絆、支援、思いやりという温の気持ち。それとは別なところで、対立という構図や我慢という意志も生まれました。

 まるで2千年の歴史が、時差を無視して押し寄せたような感があります。しかし、苦しみは始まったばかり。本当の大変さは、これからです。それはみんなが漠然と感じていること。傷跡は消されていきますが、元に戻れない苛立ちがより強くなっていくでしょう。

 便利なインフラに支えられた生活は、不自由さを感じさせないけれど、見えない明日への不安は大きい。世界で最も不安遺伝子(セロトニントランスポーター遺伝子S型。コップに水が半分入っている状態をどう思うかという問いに、多くの日本人は、"水がもう半分しかない"と考える。欧米人は"まだ、半分もある"と考える)が強いと言われる日本民族は、不安という生き物を飼い慣らしてきました。その生き物は、勝手に不安を増殖していく。見えもしない不安を畏(おそ)れ、前に進むこともためらう日本人。進退窮まったところまで追い込まれました。

 しかし、日本人はこういう状況を何度も乗り越えている。戦後、江戸末期、天明の大飢饉、応仁の乱。戦後は戦勝国のアメリカでさえ、日本の復興は50年かかると予測していたそうですから、急復興はまさに想定外。

 つまり、火事場の馬鹿力が働く。どん底を見てしまうと、これ以上の不安は雲散霧消。不安遺伝子が働かなくなって、這い上がる力が湧いてくるのです。不思議な国民です、日本人は。

不安遺伝子が全開した結果?

 そういう眼で、昨年のいろんなヒット商品ランキングを見ると面白い現象が浮かび上がってきます。前年までのように、「食べるラー油」的なアイディア商品は激減。その代わりに、「スマートフォン」「Facebook(フェイスブック)」「Twitter(ツイッター)」のような"つながる"アイテム、「マルマルモリモリ」、「九州新幹線」のような"家族"アイテム、「タニタ食堂」、「トレーニングシューズ」、「自転車」のような"健康"アイテム、「スーパークールビズ」、「扇風機」、「冷やしてフード」のような“節電”アイテムがほとんど上位を占めています。

 当たり前と言えばその通りですが、強烈な不安遺伝子が全開した結果なのでしょうか。いわゆるブランドの力は影が薄い。長い時間をかけてつくりあげてきたブランドでしたが、大災害時には無力だったのでしょうか。ブランドは蜃気楼のような幻想? そんな皮肉なことまで思ってしまいます。

 また一方で、世界中に衝撃を与えたスティーブ・ジョブズさんの死。日本でも、立川談志さん、北杜夫さん、小松左京さんなど時代を変えてきた人たちが亡くなりました。誰かが、時代は変わる。世の中を変えよ、新しき人出でよと言っているようです。

 ある意味では、日本人が経験したことのない危機に直面している。いままでの知識経験では太刀打ちのできない状況です。そういうときに、いままでの価値観に固執する政治家や経済界の人たちは、世の中を変えていくことはできるでしょうか。彼らはまだ日本がどん底とは思っていません。だから、とんでもない力を発揮するのは難しいでしょう。

 では、誰が? その人の名は、空海。言わずと知れた、弘法大師です。平安時代にライバル最澄と共に、日本仏教の方向性を定めた僧侶。空海が出現しなかったら、日本仏教はここまで生き延びたかどうかも疑問です。その意味でも、空海は僧侶というより哲学者。そしてまた、アーティスト、マーケッター、経営者、教育者、政治家でもある。日本に現れたとんでもない天才です。

「マーケティング・ゼロ」のバックナンバー

一覧

「日本は空海の出現を待っている!」の著者

関橋 英作

関橋 英作(せきはし・えいさく)

マーケッター

外資系広告代理店JWTでコピーライターから副社長までを歴任。ハーゲンダッツ、キットカット、デビアス・ダイヤモンド、NOVA英会話学校など、数多くのブランドを担当、成功に導く。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

日本の経営者は、経験を積んだ事業なら 失敗しないと思い込む傾向がある。

三品 和広 神戸大学教授