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“断捨離”実行が生産性を高める

2012年1月18日(水)

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 製造現場は、「生産性を引き上げよ」というスローガンを、耳にたこができるほど聞いていることだろう。そんな現場からの「そんなことは分かっている、具体的にどうすればよいのか教えてくれ」という問いに答えるのはなかなか困難だ。結局思いつくのはコストカット程度というのが実情であろう。

 しかしながら、コストカットは目先の利益確保には重要かもしれないが、生産性向上につながる保証はない。また、多くの日本企業においてコストカットは長年取り組んできているはずなので、これ以上ムダ削減の余地はさほど残ってはいないだろう。それでは、生産性というのはどうやって生み出せば良いのだろうか。

 生産性の議論に入る前に、まずは経済成長について考えてみよう。経済学で解明されていることをここで簡単にまとめると、経済成長の主な要因は資本の蓄積と生産性向上といえる。資本には物的資本と人的資本があり、物的資本は工場やロボット、コンピューターなどの物理的な生産設備のことを指し、人的資本は人々の持つ知識や組織運営のノウハウなど、人や社会に蓄積される種類の資本のことを指す。

 これらの資本蓄積を促すことは、企業レベルにおいても国家レベルにおいても、生産能力を引き上げることにつながることが知られている。

 国家の成長戦略を描く際は、経済学がこれまでに経済成長に関して蓄積してきた知見を多いに活用すべきである。例えば、全ての道路とダムの建設を停止せよとまで主張するつもりはないが、経済成長につながる政府支出は、その後地域企業の生産活動に寄与する種類のもの、つまり「資本」と呼べる内容でなければならない。極めて厳しい国家財政の中で、道路やダムの建設により特定の産業が一時的に潤う程度(=建設工事そのものが目的となっている程度)の効果しか見込めないならば、そのような事業は全て「無駄な事業」と位置づける必要がある。

資本蓄積は経済成長の永続的なエンジンになり得ない

 ここで注意が必要なのは、資本蓄積は経済成長の「永続的な」エンジンにはなり得ないという点である。経済学の専門用語で「限界生産力逓減の法則」と言うが、資本が増えれば産出は増えるものの、その増え方はいずれ頭打ちになることが知られているのだ。

 したがって、資本蓄積で高度成長期のような成長をもたらすことは可能であるものの、持続的な成長をもたらすのは資本蓄積ではなく生産性である点を忘れてはならない。しかしながら、経済学でも、生産性の決定要因についてはまだまだ多くのことが未解明なままである。

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「“断捨離”実行が生産性を高める」の著者

工藤 教孝

工藤 教孝(くどう・のりたか)

北海道大学准教授

1996年立命館大学経済学部卒、2000年ニューヨーク州立大学大学院経済学研究科修了(Ph.D.)。一橋大学、関西大学を経て2005年から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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檜山 敦 東京大学先端科学技術研究センター 講師