「横田尚哉のFAで考える日本再生」

費用(X)と効果(Y)、同時にとらえる「極座標系」の発想をもて

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2012年1月18日(水)

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 「安かろう、悪かろう」とよく言ったものだ。これは、価格と品質の関係性を示した言葉だ。その関係性に従えば、安くすれば悪くなるし、良くすれば高くなるという、極めて単純な理屈だ。つまり、同じ方法である限り、この関係性は変わらないということだ。

 しかしユーザーは「安くなっているのに、良くなっている」を求めているのだ。これが改善だ。価格と品質の関係性を変えるためには、それぞれを同時に考えるべきなのだ。それを可能にするのが「価値の程度」とファンクショナル・アプローチで呼ぶものだ。

 同じモノでも、評価軸を変えることで違って見えてくる。つまり、直交座標系か極座標系かの違いだ。企業経営においても、地域再生においても、極座標系による分析が重要だ。失敗しないためにも、3つのポイントを押さえて、極座標で経営分析をして欲しい。

直交座標には落とし穴がある

 直交座標で、全ての測定をしていると、大切な点を見落としてしまう。私たちは、ビジネスでも、プライベートでも、直交座標で目標を決め、達成を測り、改善しているのである。現在点を評価するために、原点との関係を、X軸とY軸に分解するだけだと、肝心のものを見えなくしてしまうということだ。これがビジネスの成長を阻害しているのだ。

 もちろん、直交座標が間違っているというものではない。X軸を費用に、Y軸を成果にとって考えることは、ビジネスでは基本である。原点O(0,0)があり、X軸方向の距離とY軸方向の距離を知ることで、今いる現在点を捉えているのだ。

 ただ、直交座標では、管理上の限界があるのだ。普通、費用の予実管理と、成果の予実管理を行うことになる。ピーターの法則から言えば、費用は予算の値まで増え続け、成果は目標の値を超えることはない。これでは、企業の成長機会を逃しているのだ。残念な企業では、経営側と部門長が目標値の設定をめぐり、力と駆け引きで決めようとしている。

 だから、直交座標を使っている企業は、その落とし穴に気をつけて欲しい。少なくとも、経営者や管理者は必ず知っておいて欲しい。直交座標での経営に、終始してはいけない。X軸とY軸だけではない、極座標での経営にも目を向けるべきなのだ。

極座標で考えることが重要だ

 極座標の経営とは、動径r(アール)と偏角θ(シータ)とで評価しようということだ。簡単にいえば、角度と距離である。どの方向にどれだけ進んでいるのかを測るということだ。たとえ、現在点が同じであっても、直交座標系と極座標系では、異なる表現になるのだ。表現が異なるから、直交座標の落とし穴を逃れることが出来るのだ。

 極座標という概念で経営している企業は、どれくらいあるだろうか。製品やサービスを極座標で測定し、改善している企業は、どこにあるだろうか。極座標をわざわざ使わなくても、直交座標で十分管理できている、と多くの人は感じるだろう。

 確かに極座標という慣れない分析は、躊躇するところだ。むしろ、それが当たり前だろう。しかし、大きな問題に直面している時、革新的な変革を行おうとしている時には、極座標系で考える方がよい。常に前を向いている必要があるからだ。たとえば、船舶の航行は、極座標系で行なっている。方向は舵で、距離は出力でコントロールしている。これだ。

 つまり、ビジネスの進行を極座標で行うことは、目標が明確に見えるということに他ならない。各組織、各担当が同じ目標を意識することが出来る。ベクトルを合わせやすくするのだ。ベクトルが合えば、組織力が発揮され、全体最適に繋がるのだ。

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著者プロフィール

横田 尚哉(よこた・ひさや)

横田 尚哉株式会社ファンクショナル・アプローチ研究所代表取締役社長。顧客サービスを最大化させる経営改善コンサルタント。
世界最大企業・GE(ゼネラル・エレクトリック)の価値工学に基づく改善手法を取り入れ10年間で総額1兆円の公共事業改善に乗り出し、コスト縮減総額2000億円を実現させる。
「30年後の子供たちのために、輝く未来を遺したい」という信念のもと、そのノウハウを潔く公開するスタイルは各種メディアの注目の的。人間ドキュメンタリー番組「情熱大陸」(毎日放送)にも出演し大きな反響を巻き起こす。
全国から取材や講演依頼が殺到し、コンサルティングサービスは約6ヶ月待ち。「形にとらわれるな、本質をとらえろ」という一貫したメッセージから生み出されるダイナミックな問題解決の手法は、企業の経営改善にも功を奏することから「事業改善」「チームデザイン」「組織改善」の手法としても注目が高まっている。
著書に『問題解決のためのファンクショナル・アプローチ入門』『ワンランク上の問題解決の技術《実践編》』(ディスカヴァー刊)がある。





このコラムについて

横田尚哉のFAで考える日本再生

 2011年3月11日の東日本大震災は、日本と日本人にとって大きなダメージを受けた。とりわけ、被災された地域の住民や企業は、深刻である。地域や経済はこれからどうなるのか、生活やビジネスはどれだけ影響をうけるのか、予測もつかないだろう。今、とてつもない不安に苛まれているのではないだろうか。
 私たちは、これまで幾度となく自然災害を経験し、なんとか乗り越えてきている。その度に技術力、結束力を発揮し、経験と知識を活かしてきた。今回の大震災も、きっと乗り越えることが出来るに違いない。私たちは、今なおそのための努力を日夜しているのだ。
 しかし、そんな程度でいいのだろうか。乗り越えることで、私たちの不安は解消されるのだろうか。乗り越えた後の地域は、日本は、それでいいのだろうか。何かが足りなくはないか、どこかを変えなければならないのではないか。 筆者は20年以上にわたり、社会づくりのためのコンサルタントをしてきた。公共事業や民間事業、政府や企業や個人に対して、ファンクショナル・アプローチをつかって障害を乗り越えるお手伝いをしてきた。先入観や固定観念にとらわれない未来を創造してきた。
 いまこそ、そのスキルを日本のために使いたい。国・地方自治体、企業、個人にいたるまで、日本再生に向けて、戮力協心のときが来た。この連載を通して、様々な角度から、論じてみたい。

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