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国家金融資本主義の限界~錬金術はありえない

“ソブリンリスク”は実は“オーバークレディットリスク”

2012年1月20日(金)

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 2011年という激動の1年が終わり、2012年を迎えた。2011年は、日本では大地震と原発事故が発生した。ヨーロッパではギリシアの財政破綻に端を発したユーロ危機が深刻化。アメリカでは国債のデフォルト危機が起きた。またアメリカとイギリスでは不況と格差に対する若者たちの不満が高まった。アメリカではウォール街のオキュパイ(占拠)に発展。イギリスでは、ロンドンで発生した若者の暴動が全国に広がった。

 こうした事態は、日米欧という先進国において、従来の国家統治の方法論(政治と経済政策)が限界に至ったことが原因である。

 2012年の展開を考える上で、この視点を持っておくことは極めて重要だ。この視点を欠いてしまうと、これまでの方法論が通用しなくなったにもかかわらず、これまでと同じことを繰り返すことになってしまう。他の先進国に先駆けて“成熟フェーズ”に突入した日本が、効力を失った従来型の経済政策を繰り返して来た挙句、いまだにデフレ・低成長・財政赤字の膨張を続けている。また同じことを繰り返すことになってしまう。

ソブリンリスクはリーマンショックと同根

 2011年に発生したアメリカの国債デフォルト危機とヨーロッパにおけるユーロ危機は “ソブリンリスク”と呼ばれている。“国家の信用”が揺らいでいるという意味だ。だが私はこの事態を、“国家”に力点を置いて解釈するだけではなく、“信用”に力点を置いて考えている。すなわち、“オーバークレディットリスク”であると認識することが重要であるという解釈である。この意味において、2011年に米欧で起きた財政危機問題は、2008年に世界を揺るがしたリーマンショックと同類・同根なのである。

 そもそもアメリカとヨーロッパが国家の信用すら揺らいでしまうほどに財政を拡大せざるを得なくなった発端はリーマンショックにある。リーマンショックによって世界経済が収縮し大不況に陥ったため、各国はこぞって金融を大幅に緩和し財政の大盤振舞いをやった。これはこれで不況対策としては正しい。しかし、金融緩和と財政の大盤振舞いの程度が、自国の実体経済の実力と照らして、健全な水準を超えてしまったことが問題なのである。

錬金術で実力を超えた信用は創造できない

 実体的な経済力を超えた信用を“錬金術的に”創造してしまったという点でリーマンショックと同じである。リーマンショックの発端はサブプライムローンの大量供給であった。本来の稼ぎではとても払い切れないような住宅ローンを多数の低所得者層に貸しつけた上で、リスクが目立たなくなるように、そのローンを証券化によってバラバラに分解し、他の金融商品に混ぜ込んで金融市場に流通させた。フグの肝を細かくして鍋や煮こごりに混ぜるのと同じである。サブプライムローンは優良ローンと比べると相対的に金利が高いため、切り刻んだサブプライムローンの破片が入った金融商品は、金利を多少高く設定にすることができる。従って、飛ぶように売れた。フグの肝を混ぜるとコクが出て鍋が旨くなるようなものであろう。

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