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「シューカツでは個性を!」と妄信的に連呼するオトナの大罪

「真価」を見てもらえない学生たちの悲劇

2012年1月19日(木)

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 「それぞれの個性を大切にするため、日本特有の“シューカツ”というルールを変えます」――。

 2013年度の新卒採用に当たり、ソニーはこう宣言した。同社のウェブサイトには、次のような文言が躍っている。

 「就職活動において、一人ひとりが輝く個性を発揮し、自分らしさを素直に表現してほしい。個人の持ち味や価値観を大切にしてほしい。多様な人材がいるからこそ、イノベーションが生まれると考えます」

 なるほど。「世界を相手に、まだないものをつくりあげるというチャレンジ精神、人々に喜びや感動を提供したいという強い意志」こそが、ソニーのDNAと自負するだけに、これまでの就活の常識=ルールを打ち破りたいと考えたのだろう。

 20年前にも「学歴不問」を掲げて就職活動に一石を投じてきたソニーだが、今回はシューカツのルールを変えるために、いくつかの方針を打ち出している。

 「卒業後3年以内」や「職歴のある人」もエントリー可能とし、「年齢制限はない」と明文化した。面接でのマニュアル化された受け答えを避けるために、複数のエントリーコースを用意し、ワークショップ、企画提案、プログラミング手法のディスカッションなど、応募者自身が採用方法を選べるようにした。

 さらには、「シューカツの固定観念を打ち破ろう」と訴え、「シューカツの服装=スーツ」という考えを否定し「自由な服装」で参加することを求めている。「どんな服装で参加していただいても大丈夫です。大事なのは、中身。自らの想いを素直に伝えられる、普段通りの服装で来てください。スーツで参加するのが『最も自分らしい』という人は、スーツを着ても構いません」と。

個性を表現できる服装って?

 新卒採用のあり方にはかねてから大いに疑問を感じていたので、「“シューカツ”のルールを変える」という宣言には賛同するし、どんどん打ち破ってほしいと願っている。多種多様な採用方法を応募者が選択できるなんてところは、「へぇ~、面白そう~」と素直に思う。

 だが、1つだけ引っ掛かる文言がある。服装について、だ。「自らの想いを素直に伝えられる、普段通りの服装」って、一体どんなものなのだろうか?

 大学やバイトに行く時のような、ずり下がったズボンでもいいということ? あるいは、「そこまで肩を出したり、足を出してると、寒くないかい?」と少々心配になるような露出度の激しい“普段の服装”でも、OKということなのだろうか?

 朝日新聞の報道によれば、「服装でも個性を表現してほしい」とソニーの広報担当者は話していたそうだ。服装で、個性ね。なんだか難しいぞ。

 おまけに、先週末に東京で行われたソニーの会社説明会に来た学生の大半が“リクルートスーツ”を着ていたことから、「服装自由化宣言でも大半は黒スーツ」といった見出しで、「自由と言っているのになんで黒スーツなんだ」と学生たちの姿勢を責めるような報道が見られた。

 ソニーの会社説明会の告知ページには、「このイベントに参加するときには、リラックスできる自由な服装での参加をお薦めしています。イベントを運営するスタッフも普段の職場に着ていくような服装でイベント会場に来ます。スーツで参加するのが『最も自分らしい』という人は、もちろんスーツを着ていただいても構いません」と書いてある。

 ここで私の小さな脳ミソは既にこんがらがり始めている。だって、「服装で個性を表現する」って意味もよく分からなければ、「服装自由化宣言でも大半は黒スーツ」と、あたかも黒スーツがいけないことのように報道されているのは、なぜ? 「自分が入りたい」と思う会社の説明会や面接に参加する際に、黒いスーツを着ていくことは、そんなに悪いことなんだろうか?

 それに、「リラックスできる服装=個性を表現する」ってことも、少しばかり違いやしないか?「自らの想いを素直に伝えられる、普段通りの服装=個性」ってことなのだろうか?

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「「シューカツでは個性を!」と妄信的に連呼するオトナの大罪」の著者

河合 薫

河合 薫(かわい・かおる)

健康社会学者(Ph.D.)

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調査研究を進めている。働く人々のインタビューをフィールドワークとし、その数は600人に迫る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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