前回は、いま欧米で起きているソブリンリスクはオーバークレディット(過剰信用)リスクであり、2008年に起きたリーマンショックと同類・同根の問題であると説明した。実体経済の実力以上に信用を創造しようとしても、金融市場において必ず“ダウト”の声が掛かってしまう。金融技術を駆使しても身の丈以上の経済的果実を手に入れることはできないということである。
では、日本はどうなのか、というのが今回のテーマである。
円高は信認の証しではない
日本ではデフレ、低成長が15年以上続いているものの、今回のソブリンパニックには巻き込まれなかった。それどころか、欧米のソブリンリスクを嫌ったマネーが「円」に流れ込み、円相場は高騰、史上最高水準にある。
ではこの円高は日本経済への信任と日本財政の盤石さを示しているのか? もちろんそんなことはない。
国民経済の活力のバロメーターである株価を見れば明らかである。2008年のリーマンショック前の日経平均が1万2200円程度であったのに対して、2012年1月は8700円くらいと約30%も下落している。この間、アメリカのダウ平均は1万1400ドルから1万2400ドルへと約9%上昇しているのだ。これを見ても日本経済への評価は国際経済の中で明らかに低下している。
日本の財政状況も似たようなものである。リーマンショックの時点でも日本の財政状況はかなり悪かった。公的債務の累積額は2008年時点で770兆円に達していたし、一般会計予算83兆円に対して税収は54兆円しかなかった。
その後も、日本の財政状況は悪化の一途をたどっている。2011年度末の累積赤字額は100兆円以上も増加して894兆円に上る。この金額は対GDP比で189%。ソブリンリスクのシンボルと目されているイタリアの129%より高い水準である。財政破綻して実質的なデフォルトに追い込まれたギリシアの160%よりも悪い。しかも2011年の税収は41兆円と減る一方だ。財政支出の大盤振る舞いはさらに拡大し、2012年度の予算は90兆円規模になる見込みである。歳入・歳出ギャップが史上最大になるのは確実だ。
これが日本経済・日本財政の実態である。
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