前2回で、欧米においても、日本においても、国家金融資本主義が限界を露呈しつつある現状について説明した。国民経済は困難に直面している。政府や銀行が、国民経済の実力以上に信用を膨張させて、経済を拡大しようとしても、うまくはいかない。早晩「ダウト」の声が上がり、そうした虫の良い政策は破綻をきたしてしまう。そのメカニズムを確認した。
多様な市場参加者がウォッチしているため、欧米ではダウトの声が早い段階で上がる。2011年夏のアメリカ国債のデフォルト危機、昨年以来今も続いているユーロ危機がそれである。
いっぽう日本では、政府の管理下にある銀行が政府と一蓮托生になって、延々と国債を購入・保有し続けている。この点に違いはあるものの、信用を過膨張させた経済運営が限界に達しているという問題の本質は日本も同じである。いつダウトの声がかかっても不思議ではない。ダウト前夜の様相である。
2012年の日本がはく2つの“ゲタ”
では2012年の日本経済はどうなっていくのか。
結論から言うと、大きなメッセージは2つである。
1.2012年の日本は、ささやかではあるが最後の暖かさを感じることができる年になろう。
2.しかし世界経済の中でのウエイトは低落し続けていくだろう。
IMFは、2012年の日本の成長率を1.7%と予測している。対してアメリカは1.8%、EUは▲0.5%。つまりこれほど不況感が蔓延している日本ではあるが、アメリカとほぼ同等、ヨーロッパと比べると“まだまし”なのである。
しかし1.7%という数字は、2つの“ゲタ”をはいた数字だということに留意しなければならない。
1つ目のゲタは2011年のマイナス成長からのリバウンド効果である。2005年〜2010年の間、日本経済の平均成長率はほぼゼロ(厳密には▲0.06%)であった。これが、2011年には大震災のダメージで▲0.5%(IMF予測)と沈んだ。2012年は、日本経済が回復軌道に乗ってくるため、2011年のマイナス分の反動で上跳ねする。その分、実力よりも高めの成長が見込めるのである。
もう1つの“ゲタ”は、18兆円にも上る復興予算の投入である。18兆円は、2011年のGDP比で3.8%に匹敵する莫大な金額である。この大盤振舞いが大きく成長をかさ上げする。
見方を変えてみれば、リバウンド効果と18兆円もの大盤振舞いがあっても、この程度(1.7%)の成長でしかないわけだ。
ここから先は「日経ビジネスオンライン」の会員の方(登録は無料)、「日経ビジネス購読者限定サービス」の会員の方のみ、ご利用いただけます。ご登録のうえ、「ログイン」状態にしてご利用ください。登録(無料)やログインの方法は次ページをご覧ください。




からのご案内




