難しい問題ではある。だが誰もが加害者にも被害者にもなる可能性があるだけに、しっかりと考えなくてはならない。職場のいじめや嫌がらせ、いわゆる「パワハラ問題」だ。
厚生労働省が設置した「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」のワーキンググループ(主査:佐藤博樹・東京大学大学院情報学環教授)が1月末、パワーハラスメントの定義や企業が取り組むべき対策に関する報告書をまとめた。新聞やテレビも大きく取り上げていたので、目にした方も多いことだろう。
「うちの会社でもありますよ。僕なんて、“給料泥棒!”って、クライアントの前で怒鳴られたことありますから」
「私なんか毎日受けてますよ〜。無理な仕事ばかり押し付けられて。これこれ! 過大な要求ってやつですよ。部長! いい加減にしてください!(笑)」
「うん。やっぱりありますよね。大企業ならちょっと我慢すれば、上司か自分かどっちかが異動になってどうにかなるんでしょうけど、中小企業じゃ無理。辞めるしかないですから。実際、パワハラされて辞めた人いますよ」
テレビの画面では、報告書に盛り込まれた「パワハラ6類型」を見せられた人たちが、顔にモザイクのかかった姿で映し出される。深刻に話す人、笑いながら話す人。対応は二分されていたけれど、ほとんどの人が「あるある!」と思い当たるほど、パワハラは社会問題化しているのである。
上場企業への調査では約4割が「パワハラがある」と回答
実際、東証一部上場企業を対象にして行われた調査では、43%の企業が、パワハラやそれに類似した問題が発生したことがあると答えている(出所:中央労働災害防止協会が2005年にまとめた「パワー・ハラスメントの実態に関する調査研究報告書」)。
また、2010年度に行われた「労働者のメンタルヘルス不調の第一次予防の浸透手法に関する調査研究」(平成22年度厚生労働科学研究費労働安全総合研究事業の一貫として行われた調査)では、働く人の17人に1人(約6%)が、「私は職場でいじめにあっている」と答え、さらに7人に1人(約15%)が、「職場でいじめられている人がいる」と回答している。都道府県労働局に寄せられる「いじめ、嫌がらせ」に関する相談件数も、2002年度には約6600件だったものが、2011年度は約3万9400件まで増えた。
労働局への相談件数が急増している背景には、純粋にパワハラが増えたということだけでなく、パワハラという言葉が一般的に使われるようになり、それまで我慢したり、理不尽な思いをしていた人たちが、「相談してみよう」とか、「電話してみよう」と一歩踏み出すようになったこともあるかもしれない。
あるいは、言葉尻だけをとらえて「パワハラ」と受け止めてしまったり(関連記事:僕も上司も同僚もやり過ごす、“ある種”のパワハラの正体)、自分が仕事をうまくできないことの言い訳に、「パワハラ」を持ち出す、困った部下も含まれている可能性もあるだろう。
いずれにしても、パワハラで悩んでいる人は実際にいて、深く傷つき、時には命を絶つ悲しい結末を迎えることも決して少なくない。そして、誰もが、その問題の渦中の人物になる可能性のある、極めて深刻なテーマであることも間違いない。
そこで、ホントに難しい問題で、うまく論じる自信はないのだけれど、今回は、パワハラ、について考えてみたいと思う。
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博士(Ph.D.、保健学)・東京大学非常勤講師・気象予報士。千葉県生まれ。1988年、千葉大学教育学部を卒業後、全日本空輸に入社。気象予報士としてテレビ朝日系「ニュースステーション」などに出演。2004年、東京大学大学院医学系研究科修士課程修了、2007年博士課程修了。長岡技術科学大学非常勤講師、東京大学非常勤講師、早稲田大学エクステンションセンター講師などを務める。医療・健康に関する様々な学会に所属。主な著書に『「なりたい自分」に変わる9:1の法則』(東洋経済新報社)、『上司の前で泣く女』『私が絶望しない理由』(ともにプレジデント社)、『

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