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「ステマ」を助長する“やらせ投稿事業”が成り立つ理由を考えた

2012年2月17日(金)

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 年明け早々、グルメサイト「食べログ」を舞台にやらせ書き込み投稿騒動がきっかけとなり、すっかり今年の流行語大賞の候補に躍り出ることになったのが「ステマ」というキーワードでしょう。「ステマ」とはステルスマーケティングの略語で、利用者に宣伝と気づかれないようにこっそり宣伝行為をすること。レーダーに映りにくい仕組みになっているステルス戦闘機をイメージすれば分かりやすいかもしれません。

 本来、雑誌やニュースサイトの記事広告は「PR」や「AD」と明記され読者に広告であることが分かりやすくなっていたり、テレビのコマーシャル枠が明確に番組枠と分離されていたりします。広告や宣伝行為は読者や視聴者に分かるようにするべき、というのがメディアや広告業界における暗黙のルールと言えます。

暗黙のルールを破っている恥ずべき手法

 だからこそ、宣伝を宣伝と分からないように実施するやらせやステルスマーケティングは、この暗黙のルールを破っている恥ずべき手法。企業がお金を払って掲載している広告であるにも関わらず、いかにもそのメディア自体の意見のように雑誌やニュースサイトに掲載されていたら、消費者は当然その記事を第三者であるメディアの意見だと思って読むことになるわけです。

 もしも、その製品を実際に購入し、記事の内容と乖離した製品であることが判明し、さらに実は第三者であるメディアの意見だと思っていた記事が企業がお金を払って掲載していた広告だと判明すれば、怒りの矛先はメディア、そして消費者を騙した宣伝行為を展開した企業にも向けられます。極端に言えば、メディアは消費者に対する詐欺行為に荷担したことにもなるわけですから、非常に大きな問題なのです。

 そういう意味で、従来、マスメディアにおいては、こうした問題が発生しないよう、いわゆるジャーナリズム精神の元に、広告の明示や、広告と編集の分離を強く意識してきました。今回の「食べログやらせ投稿」の報道においても、やらせ投稿を代行していた事業者のみならず、ある意味被害者であるはずの食べログ自体に対しても、テレビや新聞がかなり厳しい批判的な姿勢を取る背景には、こうした意識が反映されていると言えるでしょう。

食べログには倫理は存在しない?

 マスマーケティングの時代においては、メディアの数がそもそも限られていました。もし悪質な広告代理店や事業者が、やらせ行為を代行しようとしても、メディア側が拒否すれば広告が掲載されることはなかったわけです。メディアである食べログが、襟を正していれば今回のような、やらせ騒動は起こるはずがないではないか、というのがマスメディアの記者の方々の印象でしょう。

 ただ、残念ながら食べログのようなクチコミサイトや、ソーシャルメディアの世界においては、情報発信者であるメディアの数や、そこに書き込める人の数が無限に増えてしまっていますから、記者倫理やジャーナリズム精神のようなものが最初から存在し得ません。

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「「ステマ」を助長する“やらせ投稿事業”が成り立つ理由を考えた」の著者

徳力 基彦

徳力 基彦(とくりき・もとひこ)

アジャイルメディア・ネットワーク

アジャイルメディア・ネットワーク株式会社 代表取締役社長。NTTやIT系コンサルティングファームなどを経て、2006年にアジャイルメディア・ネットワーク設立時からブロガーの一人として運営に参画。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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浜田 健一郎 ANA総合研究所 シニアフェロー・前NHK 経営委員長