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被災地復興こそ、「だましだまし」の方法論で

2012年2月20日(月)

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―― 東日本大震災で被害に遭った被災地では、これからどういう街を作ればいいのでしょうか。それぞれのご意見をうかがいたいと思います。

:この対談でお話している通り、全部一律の整備をするのではなく、それぞれの場所の条件に合わせて、「だましだまし」やっていく、というのが僕の基本的な考えです。

養老:「だましだまし」というのは、これからの日本人の生き方に一番肝要なことだと思いますね。

:ただ、それだけでは建築家としてちょっと無責任な感じがしますので(笑)、震災後の対策として地下の可能性を僕からは言っておきたいと思います。

養老:それは、あまり誰も言わないですね。

:そうでしょう。誰も言わないんですけど、それこそ盲点だったな、と。だって今回の津波でも、地下って被害に遭ってないんですよ。止水さえちゃんとやっておけば、地下の構造体は津波でも大丈夫なんです。

―― その止水の技術そのものは大丈夫なんですか。

:例えば地下鉄には防潮板など、いろいろな止水技術が使われています。なのに、みんな津波の高さに対応して、上に伸ばそうとするから、論理破綻していくわけ。防潮堤にしても、5メートルの想定では甘いなら10メートルにしようとなり、いや、それでもダメなら、じゃあ15メートルだ……と、どんどん高さが上っていき、それにつれて実現性が薄くなっていく。

 それから、だったら建物の下にピロティ(建物を支える細い柱)を付けて、建物を地面から10メートルの位置に立ち上げよう、といった策が来るのですが、その10メートルのピロティの下は、結局、使える空間になんかならないわけです。

上がだめなら、「地下」がある

養老 孟司(ようろう・たけし)
解剖学者/作家/昆虫研究家。1937年生まれ。62年東京大学医学部卒業後、解剖学教室へ。95年東京大学医学部教授を退官し、その後北里大学教授に。東京大学名誉教授。著書に『からだの見方』(筑摩書房、サントリー学芸賞)『唯脳論』(青土社)『人間科学』(筑摩書房)『バカの壁』(新潮社、毎日出版文化賞)『死の壁』(新潮社)など、専門の解剖学、科学哲学から社会時評、文芸時評までを手掛ける(写真:大槻 純一、以下同)

養老:建物の下に延々と10メートルの空間があったって街にはならないでしょう。

:昔、丹下健三さんの弟子たちが「坂出人工土地」という計画を手掛けたことがあったんです。香川県の坂出市内に人工地盤を作って、その上にピロティのある建物で理想都市を建設する。そのピロティの下に公共交通が張り巡らされる、というような当初計画だったんです。

 20世紀の初めにル・コルビュジエというフランスの建築家がパリを全部、ピロティで上げて、その下の交通網を押し込んで、上に緑地を作れば人間は幸せになれる、という絵を描いて、それを丹下さん一派も一時は信奉していた。

 今、坂出人工土地に行くと、ピロティの下にみんなが勝手に倉庫とか建てちゃっていて、悲惨なことになっています。人間は誰でも本当の地面の上に住みたいんです、人工地盤の上には住みたくない。

養老:なるほど。

:だから上に行こうとする策は破綻するんですよね。そこで、地下の使い道が浮上してくる。今、構造設計家と一緒に、アイディアを練ってます。

養老:面白いですね。

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「養老孟司×隈研吾 「ともだおれ」思想が日本を救う」のバックナンバー

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「被災地復興こそ、「だましだまし」の方法論で」の著者

清野 由美

清野 由美(きよの・ゆみ)

ジャーナリスト

1960年生まれ。82年東京女子大学卒業後、草思社編集部勤務、英国留学を経て、トレンド情報誌創刊に参加。「世界を股にかけた地を這う取材」の経験を積み、91年にフリーランスに転じる。2017年、慶應義塾大学SDM研究科修士課程修了。英ケンブリッジ大学客員研究員。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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大村 禎史 西松屋チェーン社長