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「正直」とは限らない消費者とうまく付き合う“合わせ技”

合理性・論理性のワナがニーズの把握を妨げる

2012年2月27日(月)

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 丸谷才一さんのお書きになるものが大好きで、特にエッセイは本になるたびに必ず愛読している(ちなみに、対談本も大変面白い。一般に、著名人同士の対談本というのは、期待外れであることが多いのだが、丸谷さんは例外。どれもこれも知的刺激と読む楽しみに満ちているのは驚異的だ)。

 昨年、文化勲章を受章されたので、硬い文学の大家、というイメージを持つ向きもあるだろうが、少なくともエッセイでは、ゆるさとユーモアが適度に配されていて、これこそ名人芸だと思っている。

 今年出版された最新エッセイ『人魚はア・カペラで歌ふ(文藝春秋)を読んでいて、「ふむふむ」と思ったのが、司馬遼太郎と辻原登という2人の小説家の対比だ。

 辻原氏の『許されざる者(毎日新聞社)という小説について、以下のように評しておられる。

 「一言で言うと、これは司馬遼太郎に張り合った歴史小説である。何から何まで司馬の逆で行っている。その態度は果敢であり、まことに思ひ切りがよく、颯爽としている」(原文は旧仮名遣い)

「古典」の司馬遼太郎があったから光る「革新」の辻原登

 これだけで、未読のこの小説を読まなければ、という気になってくるのだが、司馬氏の逆で行っていると指摘する理由として、さまざまな対比がなされる。もう少し引用させていただくと、小説技法について次のように述べている。

 「司馬は、スコットの歴史小説に加ふるに『史記列伝』や子母澤寛の逸話趣味、史談趣味をもってして、寛潤にしていささか古風な物語を書いた。これに対して辻原は、もう一段新しい書き方を勉強したし、工夫した。(中略)、たとえば架空の土地を案出して小説の舞台とするなどという手は、フォークナーのヨクナパタウファやガルシア・マルケスのマコンドの歴然たる影響下にある」

 「司馬は常に合理主義的なのに、辻原は心霊現象とか動物との魂の交流その他、幽暗な要素まで取り入れて世界を豊かにする。(中略)一言で言えば辻原は、われわれの祖先である明治の日本人を司馬よりもずっと新しい方法でとらえ直している」

 丸谷さんのエッセイのいいところは、この稿でも司馬遼太郎を認め、評価したうえで、古典たる司馬をさらに新しい手法で乗り越えた辻原を褒めたたえているところだと思う。司馬が駄目で、辻原がいい、というのではなく、司馬遼太郎があったからこそ、辻原登があり、その良さが光る、とおっしゃっているのだ。

 古典と革新を巡る、典型的な捉え方ではあるが、物の見方に温かみが感じられますね。

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「「正直」とは限らない消費者とうまく付き合う“合わせ技”」の著者

御立 尚資

御立 尚資(みたち・たかし)

BCGシニア・パートナー

京都大学文学部卒。米ハーバード大学経営学修士。日本航空を経て現在に至る。事業戦略、グループ経営、M&Aなどの戦略策定・実行支援、経営人材育成、組織能力向上などのプロジェクトを手がける。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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