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育休フィーバーの影で犠牲を強いられる“正直者”たちの鬱屈

「働き方の多様化」では済まされない取得者たちの軽さ

2012年3月1日(木)

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 日本生産性本部の調査で新卒社会人の72.8%が「育児休暇を取得したい」と回答し、滋賀県大津市で開かれた“パパ首長サミット”では、育休を取得した経験を持つ広島県の湯崎英彦知事ら7人のイクメン首長が「育休は労働だ。『育労』とでもしたらイメージが変わるのではないか」と主張した。

 さらに長崎県佐世保市では、「我が子との触れ合いの大切さは、たとえ環境が変わっても変えることのできない不変のもの」として、育休取得などを促す「市長からの手紙」が、市内の3000カ所の企業に送られたという。

 子育てと仕事。男性の育休取率は、いまだに2%未満にとどまり、一向に改善されていない。女性についても、育休取得率が全体では9割近くになる中、それでも取れない環境に置かれている女性たちが依然として少なくない。育休が取りやすい会社と取れない会社との二極化が、明らかに進んでいるのである。

 そんな中、若い男性たちは、「育児参加は当たり前」と考え、イクメンパパたちは「育児に参加すべし」と主張する。「育児と仕事は、どちらも大事!」と訴える人たちが増え続けているわけだ。

育休を安易に取得する若手たちに切れた49歳のベテラン

 ところが、その一方で、育休を取得した人の仕事は、周りの人が肩代わりすることになる。

 「やっぱり~、子供って3歳までにどれだけお母さんと一緒に過ごしたか、ってことが将来にものすごい影響を与えるじゃないですか~。仕事の代わりはいても、母親の代わりはいないですから~~」

 これは夫が休める、休めないに関係なく、女性たちに育児に集中する権利が与えられている大手保険会社で、ある若い女性社員がつぶやいた一言だ。これを聞いた職場の先輩の女性は次のようにブチ切れた。

 「育休だの、時短だの、ワークライフバランスだの、あれやこれや制度ができるのは悪いことだとは思いません。でも、会社員なんですから与えられている仕事の責任を全うして、初めて権利を主張すべきだと思うんです。なのに、最近の若い世代は、明らかに仕事よりも家庭の優先順位が高い。仕事から逃げてる。私にはそういうふうにしか思えないんです」

 こう怒りをにじませて語った49歳の女性は、小学生の子供を持つ「母親」でもある。

 制度が悪いわけでもなければ、「取りたい」と思うことが悪いわけでもない。「でも、その制度を使うにしても、“使い方”がある」と彼女は言う。

 確かに数年前から、「子育て」をまるで特権のように振りかざす人たちにへきえきしている人たちの声を耳にすることも増えてきた。

 そこで今回は、「仕事と子育て」について考えてみようと思う。

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「河合薫の新・リーダー術 上司と部下の力学」のバックナンバー

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「育休フィーバーの影で犠牲を強いられる“正直者”たちの鬱屈」の著者

河合 薫

河合 薫(かわい・かおる)

健康社会学者(Ph.D.)

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調査研究を進めている。働く人々のインタビューをフィールドワークとし、その数は600人に迫る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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名和 利男 サイバーディフェンス研究所上級分析官