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財政再建と経済成長を両立させる「ナナサンの法則」

ケインズに比され、注目されるアレシナ教授の提言

2012年3月13日(火)

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 少し前のことであるが、米ブルームバーグビジネスウィーク誌に「ケインズ vs. アレシナ:アレシナとは何者だ?(Keynes vs. Alesina. Alesina Who?)」という記事が掲載された。かの有名なケインズと対比されるほど脚光を浴びているのは、新しい政治経済学を提唱しているアルベルト・アレシナ米ハーバード大学教授である。国家がなぜ統合したり分裂したりするのかという壮大なテーマから、財政再建と経済成長を両立させる現実的な政策提言まで、その研究対象は幅広い。現在、アカデミックな世界だけでなく、実務に携わる政策担当者からも研究動向を注視される経済学者のひとりである。

 彼の研究のうち、最も有名なものの一つ、かつ欧州を中心に政策面で多くの影響を与えたものが、1996 年に同じくイタリア人経済学者であるロベルト・ペロッティ・ボッコーニ大学教授と共同で発表した財政再建に関する研究である。ケインズが拡張的な財政政策を景気回復の処方箋として提示したのに対し、彼は、思い切った歳出削減によって、財政再建の成功確率が高まると同時に、それがその後の経済回復に資する可能性があると主張したのだ。

 財政再建を成功させる絶対的なルールが存在しない中で彼がそう主張する根拠は、OECD加盟国のうち20カ国について1960-94年の35年間にわたる財政データをつぶさに観察したことにある。そこから財政再建期に相当する62ケースを抽出し、各々について財政再建の成否を検証した。その結果、8ケ国延べ16のケースで財政再建に成功し、残りの46ケースは失敗に終わったと結論づけた。そのうえで、成功したケースおよび失敗に終わったケースで、共通して観察される特徴を探したのである。

公共事業削減よりも公務員人件費削減に切り込め

 アレシナとペロッティの研究で注目に値するのは、財政再建に成功したケースで、「歳入拡大よりも歳出削減に力を入れた場合のほうが多かった」という発見である。より具体的に言えば、1兆円の財政改善を必要とする場合、財政再建に成功したケースでは、平均的にみて7200億円の歳出削減と2800億円の歳入拡大によってそれを達成している。一方で、財政再建に失敗したケースでは、歳出削減が4400億円に留まり、残りの5600億円を増税等の歳入拡大で達成しようとしたとされている。

 歳出を削減するにしても、財政再建に成功したケースでは、歳出削減の半分相当を移転給付(社会保障)と公務員人件費の削減で達成している一方で、財政再建に失敗したケースでは公共事業の削減に頼っている割合が高いこともわかった。加えて、歳入拡大を図る際には、成功したケースでは歳入拡大のほとんどが法人税と間接税からの収入増で図られている一方で、財政再建に失敗したケースでは、所得税や社会保険料の引き上げといった直接的な家計負担の増大に頼っていた。

 これらの知見を端的にまとめると、歳出削減と歳入拡大の比率は7対3にすること(ナナサンの法則/ナナサンルール)、公共事業の削減ではなく社会保障と公務員人件費の削減に切り込むこと、法人税と間接税を中心にした歳入拡大を図ること、といった政策パッケージが提案されることになる。

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