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“都落ち”をためらうオッサンと“地元志向”の若者の意外な共通点

「宮崎観光の父」が教えてくれた仕事の本当の尊さ

2012年3月15日(木)

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 「最近の若い人って、人のために働きたいとか、地元に帰って地元のために働きたいとか言うでしょ? ああいうの、何かうらやましいんですよね~。実は私も50歳になったら地元に帰りたいって思っていたんですけどね、実際にはそれができない自分がいる」

 「少しのんびり暮らしたいとか、1人で暮らしている80歳になる母に親孝行しようかなと思っていたはずなのに、“都落ち”したって、思われたくなくて、東京を離れられない。今の若い人たちには、そういう感覚ってないんでしょう? うらやましいなぁ」

 こう話すのは、大手広告代理店に勤める48歳の男性である。

 最近、やたらとこういった、「若者バッシング」ならぬ、「若者羨望論」らしき話を、オッサン世代、特に40代から聞くことが多くなった。前に進みたい、けど一歩踏み出せない――。そんな微妙なお年頃のオッサン世代は、世の中のしがらみに一切とらわれない若者たちに“憧れる”らしいのだ。

 この男性も、「50歳になったら……」と決めていたにもかかわらず、その50歳が近づきリアリティーが増してきた途端、「ホントに、今の生活を捨ててもいいのか? 田舎暮らしに耐えられるのか?」と自問自答するようになった。

 そんな自分と、テレビなどで「地元に帰って復興に関わりたい」とストレートに語る若者たち。そこに横たわる壁を感じ、羨む気持ちがちらつくのだという。

 そこで今回は、「地元で働く」ということについて、考えてみようと思う。

地元に帰ろうという気持ちは全くウソではなかったが…

 「もともと私は田舎者なんで、いつかは地元に帰りたいって気持ちはあったんです。でも、今にして思うと『50歳になったら』と区切りをつけることで、思い通りにならなかった自分の会社人生に折り合いを付けようとしていたんです」

 男性はこう語り始めた。誰にも「いざとなったら、辞めてやる!」と思うだけで救われることがあるものだが、彼の場合には、数年前に支店に飛ばされ、釈然としない気持ちになった時に、「ここは俺の終のすみかではない」と思うことで救われたのだ。

 「当時は、支店に飛ばされたことが、受け入れられなかった。だから、『50歳になったら地元に帰ろうと思っていたから、ちょうどよかった』なんて言って回ったりしたのかもしれません。周りに吹聴することで、自分を納得させていたんでしょう。今にして思えば、完全な負け惜しみでした」

 「ただ、いつかは地元に帰りたいって思っていたのは、丸っきりウソではないんです。本気で50歳になったら田舎に引っ込んでもいいと思っていたし、働く場所のメドもある程度は立てていた」

 ところが、50歳を目前にして、簡単には辞められない自分がいる。正直、都落ちしたくない、なんて思うようになっているんです。自分で辞めようって決めていたことなのに、それをためらっていることが情けない。俺、何をやってんだろうってね」

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「“都落ち”をためらうオッサンと“地元志向”の若者の意外な共通点」の著者

河合 薫

河合 薫(かわい・かおる)

健康社会学者(Ph.D.)

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調査研究を進めている。働く人々のインタビューをフィールドワークとし、その数は600人に迫る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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中谷 巌 「不識塾」塾長、一橋大学名誉教授