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契約社員も上司も追い詰める“改悪法”の実態

ホントに困っている人たちの声に耳を傾けているか

2012年3月22日(木)

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 「あ~あ、これでまた企業は逃げ道を探すことになるぞ」
 「規制すればするほど、働きづらくなるっていうのに、やめてほしいよ」
 「誰かを守るってことは、誰かを切らなきゃいけなくなるってことなのになぁ」

 思わずこんなふうにつぶやいてしまった人もいたのではないだろうか。

 そう。3月16日、厚生労働相の諮問機関である労働政策審議会が、小宮山洋子厚労相に答申した労働契約法改正案の要綱についてだ。同じ職場で5年を超えて働く有期契約のパートや契約社員について、本人が希望した場合に契約期間を限定しない「無期雇用」、すなわち、正社員に転換することが盛り込まれた。

 現在の労働契約法は有期雇用について、1回の契約で働ける年数を原則3年以内と定めているが、契約更新を重ねた場合の上限規定はない。それを改めて、新たに有期雇用の通算期間の上限を5年に設定し、それ以上は「正社員へ」との道筋を示したわけだ。

 ううむ。これってどうなのだろうか? 確かに正社員になれた方が安定するかもしれないけど、5年って、ちょっとばかり長くない?

 小学校の6年間は、とてつもなく長かったし、大学の4年間だって、そこそこ長かった。CA(客室乗務員)をやったのも4年間、夜のテレビ番組やったのも4年間、朝の番組やったのも4年間……。どれもこれも5年以下。大学院を修了するまでだって、かなり長い期間だったように記憶しているが、あれでやっと5年間だ。

 どう考えてみても、5年は長い。ん? だからこそ、「5年も契約したんだから、正社員にしちゃってよ」ということなのだろうか。

「働く人のため」の制度がかえって雇用を奪う矛盾

 いずれにしても、これまで政府が「働く人のため?」とばかりに制度で縛り付けることで、余計に働く人たちの「雇用」が奪われてしまったという現実もある。

 例えば、リーマンショックの後、連日メディアで取り上げられた「派遣切り」。その「派遣切り」を防ぐという名目で、製造業への派遣を原則禁止する労働者派遣法改正案が2010年の通常国会に提出されたことがあった。

 ところが、「派遣社員」を守るためのルールであったにもかかわらず、派遣社員の労働市場は安定するどころか、「雇ってもらえない」ようになってしまった。多くの企業が派遣社員を減らし、パートやアルバイトを増やしたのだ。

 2009年で108万人だった派遣社員は、96万人にまで減少。一方、パートやアルバイトは、1153万人から1192万人に増加した。さらには、「派遣切り」と非難されることへの危惧が、円高や節電といったほかの要因以上に製造業の海外進出に拍車をかけているとの指摘もある。

 しかも、前述した要綱には、「無期契約に移行した場合でも、賃金や年金制度など雇用期間以外の条件は変更する必要がない」とされているのだ。

 つまりは、正社員になったとしても、もらえるおカネは増えないということになる。

 あれ? 非正規社員にとっては、「正社員よりも賃金が低い」などの、「雇用期間以外の条件」に関する問題の方が大きいと思うのだが、なぜ、それを「変更する必要がない」なんてわざわざ付記するのだろうか?

 まさか、「まぁ、細かいこと言わないでよ。正社員になれる、ってだけでいいジャン」というわけじゃないでしょうね?

 というわけで、今回は「働かせ方のルール」について、考えてみようと思う。

コメント52件コメント/レビュー

思っていることをすべて書いていただきました。ありがとうございます。自分自身、大いにもらってる賃金以上の仕事をしていますし、評価もしてもらえてると思います。訳のわからない法律で切られてはたまりません。本当に勘弁してほしいです。周りでもよく仕事のできる人たちが、契約社員⇒正社員へのハードルが高く(噂では35歳の壁もあるらしい)、怯えています。早くまともな法改正をしてくれることを期待します。(2012/03/30)

「河合薫の新・リーダー術 上司と部下の力学」のバックナンバー

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「契約社員も上司も追い詰める“改悪法”の実態」の著者

河合 薫

河合 薫(かわい・かおる)

健康社会学者(Ph.D.)

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調査研究を進めている。働く人々のインタビューをフィールドワークとし、その数は600人に迫る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

思っていることをすべて書いていただきました。ありがとうございます。自分自身、大いにもらってる賃金以上の仕事をしていますし、評価もしてもらえてると思います。訳のわからない法律で切られてはたまりません。本当に勘弁してほしいです。周りでもよく仕事のできる人たちが、契約社員⇒正社員へのハードルが高く(噂では35歳の壁もあるらしい)、怯えています。早くまともな法改正をしてくれることを期待します。(2012/03/30)

みなさんの意見を読んでいると、どうも「派遣社員」と「契約社員・パート・アルバイト(いずれも直接雇用)」がゴチャゴチャになっている方が少なくないような・・・。  また、ひとりだけコメントされていましたが公式な資料をどう読んでも「5年以上で正社員」とは書かれておらず「期間の定めのない従業員」にすることが義務化されるだけで、今までとどこが違うかというと「契約期間満了による雇止め」ができなくなるだけではないかと思います。(賃金など処遇面での改善が義務化されるわけではない)  ただし、現在の労基法でも複数回契約が更新されている場合は合理的な理由なく「雇止め」はできないのでかなり労働者は保護されており、実質的にはそれほど大きな法改正と言えるかどうかは疑問です。(生産量の大幅な減少など合理的な理由があっても雇止めできなくなれば、自動車製造業などの経営にとって「期間の定めの有る無し」は大きな問題ですが)(2012/03/28)

 題材で取り上げられた方は、人事を経験した管理職でありながら(しかも50歳台で人生経験も豊富)非正規を雇う原則を全く理解できていない人材です。  多分現場の業務が皆目解からず、勉強もしないので正規、非正規を区別(差別ではありません)して業務指示が出せないだけです。  このため派遣社員の待遇だけを取り上げ「相手の事を考えているつもり」になって「管理職の仕事をしている振り」をしているだけです。  雇用側にこの手の輩が多々いることが非正規雇用者が不幸になっている大要因です。 非正規雇用を行なう原則は、コスト削減/社内にないスキル確保(又は両者共)のためです。 会社側は「業務(仕事)内容を限定化」して、「需要の不確実性対応」と「資源/時間の最小化」を図ります。 正規社員/非正規社員関わらず、この原則に立って考え/行動しないと業務や人間関係が破綻をきたします。 原則を踏まえて対応していれば「正規登用」とかいう人を非正規の人を馬鹿にしたような表現が出てくるはずがありません。(2012/03/28)

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