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「高齢化、過疎に空洞化・・・震災は日本の課題を加速させた」

経済学者・齊藤 誠さんに聞く~「復興の経済学」編【その1】

2012年3月26日(月)

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 2011年3月11日の東日本大震災から1年が過ぎた。震災そのものさることながら、津波による東北沿岸部の甚大なる被害、そして東京電力福島原子力発電所の事故による様々な被害が、解決の先行きを見えなくしている。昨年、震災直後の3月15日、日経ビジネスオンラインで対談をした齊藤先生は『原発危機の経済学』(日本評論社)を出版された。混乱する震災直後から情報を丹念に整理し、経済学者の立場から冷静に分析された同書の評価は高く、経済学以外の専門家、我々ビジネスマンにとっても必読の書である。先生の1年間の活動をお伺いしながら、復興と原発事故、そして報道と学問について考えていく。(構成:日経ビジネス編集)

池上:今から1年前、2011年3月11日に東日本大震災が起きました。震災そのものさることながら、津波による東北沿岸部の甚大なる被害、そして東京電力福島原子力発電所の事故による様々な被害が、1年たっても解決の先行きの見えないままになっている。実は齊藤先生とは、震災直後の3月15日に日経ビジネスオンラインで対談をしましたね。

齊藤:今振り返ってみると、まだ、原発事故の状況もよくわかっていない時期でした。

池上:今回は、震災直後に私たちが対談してからの1年で、何が進み、何が進んでないのかを改めて検証し、何が問題でどう解決すればいいのか、対談を進めながら、考えていきたいと思います。

齊藤:よろしくお願いいたします。


少子高齢化、過疎化、空洞化。未来の課題が目の前に来た

齊藤 誠(さいとう・まこと)
一橋大学大学院経済学研究科教授1960年生まれ。83年京都大学経済学部卒業。92年マサチューセッツ工科大学経済学部博士課程修了、Ph.D.取得。住友信託銀行調査部、ブリティッシュコロンビア大学経済学部などを経て、2001年4月から現職。2007年に日本経済学会・石川賞、2010年に全国銀行学術研究振興財団・財団賞受賞。主な著書に『原発危機の経済学』(日本評論社)『金融技術の考え方・使い方』(有斐閣、日経・経済図書文化賞)、『資産価格とマクロ経済』(日本経済新聞出版社、毎日新聞社エコノミスト賞)、『競争の作法』(ちくま新書)。
(写真:丸毛 透)

齊藤:東日本大震災は、日本が21世紀半ば、50年先まで抱える課題をいきなり私たちの目の前に突きつけました。つまり、少子高齢化であり、過疎化であり、産業の空洞化です。

 今回被災した東北地方では、震災以前からこれらの課題が深刻な現実をもたらしつつありました。仮に震災がなくても、そのままの状態だと地域経済や地域社会の規模がどんどんダウンサイジングし、そのまま放っておくと、10年後、20年後には、共同体の維持が困難になっていくことが懸念されていました。

 震災によって社会基盤が破壊された東北のとりわけ沿岸部においては、こうした課題への対応策を今すぐに考え、実行しなければならなくなったのです。

 具体的には、東北の被災地を立て直すときに、被災直前の共同体をそのまま「復旧」するのは困難だ、ということです。未来を見据えた新しい共同体をつくる「復興」でなければ、東北の再生は難しい。震災から1年、復興への道が見えにくい理由は、新しいかたちの「復興」がいかに難しいか、ということを表しています。

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「「高齢化、過疎に空洞化・・・震災は日本の課題を加速させた」」の著者

池上 彰

池上 彰(いけがみ・あきら)

ジャーナリスト

1950年生まれ。慶応義塾大学経済学部卒業後、NHK入局。報道局主幹を経て、2005年3月よりフリージャーナリストとして活躍中。2012年4月から東京工業大学で東工大生に「教養」を教えている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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