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市場原理を利用して「がれき処理」を進める方法を考える

経済学者・齊藤 誠さんに聞く~「復興の経済学」編【その3】

2012年4月9日(月)

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 2011年3月11日の東日本大震災から1年が過ぎた。震災そのものさることながら、津波による東北沿岸部の甚大なる被害、そして東京電力福島原子力発電所の事故による様々な被害が、解決の先行きを見えなくしている。昨年、震災直後の3月15日、日経ビジネスオンラインで対談をした齊藤先生は『原発危機の経済学』(日本評論社)を出版された。混乱する震災直後から情報を丹念に整理し、経済学者の立場から冷静に分析された同書の評価は高く、経済学以外の専門家、我々ビジネスマンにとっても必読の書である。先生の1年間の活動をお伺いしながら、復興と原発事故、そして報道と学問について考えていく。(構成:日経ビジネス編集)

復興の経済学(その1)から読む
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編集部注)今回は、2回目の最後に取り上げた「被災地の医療施設」の問題から始まります

地元の人が使わない! 地方の病院・過疎化の現実

池上:先ほど、齊藤先生が仙台への人口集中をとりあげていらっしゃいましたが、今後、日本の地方においては、自然災害のあるなしに関わらず、過疎化した地域や限界集落化した地域を、統合していく必要に迫られるケースがたくさん出てきます。その時、話題になるのが、広く散らばった地域を都市部にまとめる「コンパクトシティ」構想です。例えば、函館市は、少子化傾向を受け、既に全国に先駆けてコンパクトシティへの道を歩み始めている、と聞いています。

 実はコンパクトシティ化をする過程で、まず現実的な問題として浮かび上がるのが「病院」です。過疎化が進んだ地域、限界集落化した地域の場合、住民の大半が御老人です。つまり、潜在的に医療のお世話になる方々がとても多い。ところが、過疎化が進むと、総合的な医療施設を統廃合せざるを得なくなるかもしれない。

 東北に限らず、全国の自治体にはそれぞれ総合病院があります。建物も立派で病床数も確保されている。けれどもその自治体の人口が減少していくと、お医者さんの数が減っていく。とりわけ若く活発なお医者さんが来なくなる。すると、総合病院としての機能が果たせなくなる。

 今回の被災地にも、今お話したように形骸化していた総合病院がありました。では、こうした病院を「元通り」に直せるか? 既に患者という「ニーズ」が減っていたのに、そのニーズ以上の施設を復旧できるか。もちろん、住民がいる限り、医療サービスを切らすわけにはいきません。難しい問題です。

齊藤 誠(さいとう・まこと)
一橋大学大学院経済学研究科教授1960年生まれ。83年京都大学経済学部卒業。92年マサチューセッツ工科大学経済学部博士課程修了、Ph.D.取得。住友信託銀行調査部、ブリティッシュコロンビア大学経済学部などを経て、2001年4月から現職。2007年に日本経済学会・石川賞、2010年に全国銀行学術研究振興財団・財団賞受賞。主な著書に『原発危機の経済学』(日本評論社)『金融技術の考え方・使い方』(有斐閣、日経・経済図書文化賞)、『資産価格とマクロ経済』(日本経済新聞出版社、毎日新聞社エコノミスト賞)、『競争の作法』(ちくま新書)。
(写真:丸毛 透)

齊藤:地方自治体である市や県が持っている病院が、日本中にたくさんあります。ですが、医療施設の再生は、ほとんどうまくいってないですね。過疎化が進んだ自治体に、建物と病床数だけは立派な総合病院が鎮座している。ところが、お医者さんの人数は減らされている。地元の人たちが、こうした病院とどう付き合っているのかというと、何とどんどん行かなくなっている。

池上:え、行かないんですか? どうしているんですか?

齊藤:設備はあっても、お医者さんの数が限られていますから、病状によっては適切な治療を受けられないおそれがあるわけです。そんな時は、地元の名ばかりとなった総合病院をすっとばして、もっと遠くのお医者さんがちゃんといる総合病院や専門医院に直接行っちゃうそうなんです。

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「市場原理を利用して「がれき処理」を進める方法を考える」の著者

池上 彰

池上 彰(いけがみ・あきら)

ジャーナリスト

1950年生まれ。慶応義塾大学経済学部卒業後、NHK入局。報道局主幹を経て、2005年3月よりフリージャーナリストとして活躍中。2012年4月から東京工業大学で東工大生に「教養」を教えている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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