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脳科学者と名優との対談本で再確認した人の脳の神秘

人が知性や理性を持つ仕組みと「幽体離脱」の実在

2012年4月9日(月)

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 敬愛する脳科学者の小泉英明氏(日立製作所役員待遇フェロー)から、歌舞伎の市川團十郎氏の対談本を贈っていただいた。『童の心で:歌舞伎と脳科学』(工作舎)というタイトルの書籍である。

 実はこのお2人、何と幼稚園の同級生。團十郎氏の方はご存じの通り、先代の海老蔵。1985年に團十郎を襲名後、市川宗家の主として、歌舞伎界を引っ張ってきた名優だ。

 一方、小泉氏は、日本で初めてMRI(磁気共鳴画像装置)を開発し、その後も光トポグラフィ―法の開発などによって、日本の脳科学研究を引っ張ってきた方である。ノーベル賞の候補者にも、何度も擬されている。

 私自身、ここ何年もの間、ある会で小泉氏に直接お話をうかがう機会をいただき、森羅万象、ずいぶんと広い領域について、様々な教えをいただいてきた。

 ここのところ「和」の文化・伝統芸能に少しずつ触れるようになった身にとっては、この本は大変に面白かった。

 歌舞伎の歴史や襲名というシステム、あるいは様々な芸の奥義について触れながら、それを脳科学の知見で読み解く、という趣向の本で、お2人の専門分野外についての知識・教養に圧倒されながらも、「ふむふむ」「へー」とつぶやきながら、出張の機内であっという間に読み切ってしまった。

内発的学習と外発的学習の使い分けが経営の課題だが…

 面白かった部分を少しだけご紹介してみよう。

 まずは、脳の報酬系と「にらみ」に関する部分。心理学や教育学の分野では、外発的学習と内発的学習ということが言われる。

 同書から少し引かせていただくと、
「外発的学習とは、ご褒美によっておこなう学習です。おサルさんに芸をしこむ場合、うまくできたらご褒美に、バナナやジュースを与えたりします」
「内発的学習とは、うまくできると達成感があってそれが報酬となって学習努力を続けるものです」
 ということになる。

 ビジネスの世界でも、マズローの欲求5段階説などを引きながら、こういった話はよく出てくる。

 (主として金銭的な)報酬などのパフォーマンスに対する「ご褒美」をどううまく活用するか。あるいは、能力アップを実感させるような評価システムや能力認定、ポストやタイトルといった周囲からの認知のメカニズムを使って、個々人の努力を継続的に引き出す仕組みをどう作り上げるか。

 こういった形で、外発的学習と内発的学習の両方を合わせ使いながら、いかに組織能力と実行力の向上を図るか。それが経営の大きな要素を占めているわけだ。

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「脳科学者と名優との対談本で再確認した人の脳の神秘」の著者

御立 尚資

御立 尚資(みたち・たかし)

BCG シニア・アドバイザー

京都大学文学部卒。米ハーバード大学経営学修士。日本航空を経てボストン コンサルティング グループ(BCG)に入社。BCG日本代表、グローバル経営会議メンバー等を歴任。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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名和 利男 サイバーディフェンス研究所上級分析官