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黒板も時間割もない学習塾

教えるのは勉強の中身でなく「勉強の仕方」~GLS予備校

2012年4月10日(火)

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 原田塾長は「どうしたら成績が伸びるのか。そのノウハウすらない」と憤慨する。つまり、政策や制度の前に、教育方法の確立がそもそもできていない、ということである。学校や塾のような組織の中では、一人ひとりの講師は特定の教科しか教えることができない。教育の効果という観点から見ると、ここに根本的な問題がある。

 例えば、英語ができない子供に英語を丁寧に教え続けてもダメなことがあるという。そのような子供は英語の前に国語ができないからだ。社会も同じである。子供によっては、国語ができないために教科書の漢字や表現が難しく、そもそもそこに書かれていることが理解できず、成績が改善しない。だから、そのような子供には国語力を徹底的に付けていかなければならない。同じように、理科が分からない子供の多くは数学ができない。基礎的な数学を理解していない子供に、どんなに物理を教えても成績を伸ばすことができない。この場合は、まず数学の基礎力を付けるところから始めなければならない。これが原田塾長の問題意識だ。

 今の学校や塾は多くの生徒を効率的に教えるため、科目を分断している。それぞれの教師には特定の科目を教える権限しか与えられておらず、その仕組みを変えることも難しい。自ら学習塾を開校した原田塾長は、そのトップとして、まず教育方法のノウハウ化に取り組み始めた。

 2005年の開校から約6年間は、6畳間の小さな教室で全教科の授業を原田塾長1人で受け持った。生徒数が増えため、2010年11月により大きな教室に引っ越し、今は講師数6人、生徒数は40人強までになった。

問題を解けたかだけなく、解答のプロセスを問う

 授業の進め方は独特である。何しろ時間割がない。

GLS予備校の教室はオープンな雰囲気だ

 GLS予備校は1対多人数の授業ではなく、基本的に1対1の個別指導で授業を進めていく自習型の塾である。しかしその方法は、個別指導型の多くの塾のように小さなブースで1人の教師が1人の生徒に教えるものではない。机と椅子が普通に置かれたオープンな教室に生徒たちは並んで座り、講師が個別指導を行う。まとめて多くの生徒に教えることがないので、教室に黒板はない。

 生徒4~5人に対し1人の講師が教室に入る。もし生徒数が7~8人であれば教師を2人にする。10人を超えれば3人が入る。授業は一人ひとりの生徒に合わせて個別に進められるので、実際の授業は数名の講師が数名の生徒に教えるチーム指導という方法をとる。だから同じ教室には中学1年生から高校3年生までの様々な学年の生徒が一緒に勉強する。

教室では様々な学年の生徒が一緒に勉強している

 講師達は一人ひとりの生徒に、いずれかの科目の問題を解いてもらう。国語であれば、知っている言葉や、語彙の意味などを問う。これは語彙力の不足が原因となり、他教科の成績の足を引っ張るからである。また、実際に文章を読ませ、問題を解けたかどうかだけでなく、文章の内容を説明してもらう。英語であれば文章の構造がどれだけ理解できているかを確認する。数学であればグラフを正確に書くことができ、また解答へのプロセスが論理的に説明できるかどうかも見る。

 英語や国語の語彙力は知識量であり、そのための暗記力が必要になる。この力がなければ、同じ能力が求められる社会もできない。逆に英語や国語ができるのに社会の成績が悪いのはただ単に勉強が足りないだけでなく、頭の中で全体の大まか流れを論理的にイメージできないまま用語だけを暗記しているためである。同じように古文も単語の語彙力とともに、文法がどれだけ頭に入っているかどうかで決まる。

コメント5件コメント/レビュー

親と子の最新受験情報講座を読んで存在を知りました。学ぶ力をつけることの重要性に共感します。自学自習が勉強法のスタイルだと確信します。(2016/09/07 12:15)

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「黒板も時間割もない学習塾」の著者

内藤 耕

内藤 耕(ないとう・こう)

サービス産業革新推進機構代表理事

世界銀行グループ、独立行政法人産業技術総合研究所サービス工学研究センターを経て現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

親と子の最新受験情報講座を読んで存在を知りました。学ぶ力をつけることの重要性に共感します。自学自習が勉強法のスタイルだと確信します。(2016/09/07 12:15)

私と同じような考え方の塾を始めて発見しました。教育の本質を考えるとこうなるはずです。お互い頑張りたいですね。ちなみに、うちの方が生徒数多いです(^^)Vぜひ取材してください(^^)http://www4.ocn.ne.jp/~supports/(2012/04/24)

いいですねこの発想。小中高校の教師が教授法を会得しているとは思えず。確立された教育方法というのがこの国にはあるのだろうか。指導方法は現場の教師に任されるだけで、効率的な教え方というノウハウがあるのだろうか。分野ごとの確立された教授法の論文があるのだろうか。教師が学ぶ機会があるのだろうか。特定の分野の教授法の資格取得、評価が教師に対してなされるのだろうか。教師は教えることのノウハウの保持者であるべきで、同時に学問の面白さを教える先人であるべき。彼らを雑用から開放する制度が必要。 と、本稿から話がそれた。。。(2012/04/10)

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