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平均的日本人の「資産」価値は2740万円

人的資本の価値を最新のツールで計測してみると

2012年4月17日(火)

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 「人的資本の価値」を測る、と聞いた時、読者は何を思い浮かべるだろうか。「人的資本」そのものは多義であるが、ここで筆者が言う「人的資本の価値」とは、ある人物から金融資産から得る所得や不動産所得などをのぞき、今後獲得する所得のことである。より具体的には、将来受給する年金や給料などの割引現在価値のことを指している。つまり、人としての価値とは全くの別物である。

 これは、株価が理論上は将来の分配金の割引価値であるのと同じである。こうした給料や年金などの所得は国民所得の3分の2程度を占めており、経済にとって重要な要素といえる。なお、米国では、平均的な人的資本の価値はおよそ48万ドル程度である(2007年)。この場合、非労働者や既に退職した年齢層も加えた人口の平均なので、一般によく語られる生涯給与とは異なる数字である。日本人の場合は、2005年のデータだが25万ドル(その当時の為替レートで約2740万円)であった。さて今回は、筆者らが考えた人的資本の計算方法をご紹介したい。

 マクロ経済分析などで生産要素としての人的資本を測る場合、経済学者は受けた教育レベルなどでその値を計測してきた。だが、個人の最適なポートフォリオ、すなわち資産構成を考えるうえでは金融資産や土地・建物など実物資産と同じようにその人的資本の金銭的価値を考える必要がある。この金銭的価値を計算するのは意外と難しいのである。

教育の価値や寿命をどう織り込むかがカギ

 1976年、ジョン・ケンドリック米ジョージ・ワシントン大学教授は、この価値が投下した費用に一致すると仮定し、育児にかかる金銭的な費用など、成長するまでにかかったコストを基に資産価値を計算した。だが、当然、教育や経験などにより蓄積された人的資本の資産価値の増加はこうした手法では計上されず、過小評価になりがちである。これは会社の価値を図るときに費用を元にした会計上の資産を見ても過小評価になることが多いのと同じである。

 そこでデール・ジョルゲンソン米ハーバード大学教授らは、教育水準と年齢を元に生涯給与の推定を行い、人口構成や死亡率などを勘案した上で米国全体の人的資本の価値を計算した。彼らは労働経済学の成果を基に緻密な計算を積み重ね、割引率と将来の人口全体の賃金上昇率については妥当な数値を仮定して計算した。手法としては、手間がかかるものの、定義に沿った推定である。

 だが、すでに起こりつつある産業構造の急変や人口構成の変化など、避けられない誤差がいくつも重なると、構造的に間違った方向へと推定してしまう危険性がある。さらに株価の変動の多くは「分配金の変化よりも割引率の変動によるものである」というジョン・キャンベル米ハーバード大学教授の調査結果もあり、ジョルゲンソン教授らの手法は割引率を固定してしまう問題がある。

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「平均的日本人の「資産」価値は2740万円」の著者

松本 哲人

松本 哲人(まつもと・あきと)

IMFエコノミスト

米ウィスコンシン大学経済学博士(Ph.D.)。東京大学法学部卒業後、野村総合研究所入社、野村証券エコノミスト、英国銀行、米連邦準備銀行を経て現職。専門は国際金融。(写真:菅野勝男)

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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