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美人投票と株式市場の深い関係

株価変動を支配する「ファットテール」

2012年5月1日(火)

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 株式市場は企業価値を反映する鏡である。その鏡は、企業の刻一刻と移り変わる将来性を抜かりなく映し出す。市場参加者という無数の匿名な観察者は、経営者が直視したくないような醜い欠点まで、冷酷にあぶりだしては評価に算入していく。

 市場はまた社会プロセスとして例外的なほど機敏で迅速だ。1986年にスペースシャトルチャレンジャー号爆発事故が起きた後、政府調査委員会が事故原因について、Oリングとよばれる小さな部品であったことを特定するのには数ヶ月を要した。ところが市場においては事故のわずか21分後に、シャトル関連企業の中で唯一、値がつかない企業としてOリング供給企業が識別されていたのである(注1)。“Market knows”(市場は何でも知っている)などと、冗談半分、本気半分に崇められたりもする所以だ。

 その市場が大きく見通しを外すことがある。バブルの発生と崩壊は良い例だが、そこまで巨大な事例でなくとも、個別企業や産業などが、とりたててさしたるニュースもないのに大きく値を上げたり下げたりする。実際のところ、「外すことがある」どころではない。株価の実際の振幅と理論値の振幅を比較してみれば、実際の振幅の方がいつでも大きい。株式市場は、長い目で見れば企業価値の水準をよく捉えるのだが、短期的には過熱したり冷えきったりとブレまくるのである。

優勝するのは、誰も美人と思っていない人に

 株式市場のそんな気まぐれな振る舞いが、美人コンテストに似ている、とジョン・メイナード・ケインズは言う。ただし、普通の美人コンテストではない。ケインズの美人投票では、賞をもらうのは優勝した美人ではなく、その美人に投票した人である。このゲームでは、優勝した美人が本当の美人であっても良いけれど、そうである必要もない。重要なのは、みんなが投票した美人に、自分も投票していることである。

 ところが、ほかのみんなも同じように他のみんなと同じ美人に投票したいと思っている。その結果、圧倒的多数を集めて優勝した美人のことを、本当のところ誰も美しいとは思っていなかったといった珍事が、普通に起こることになる。

 もしも、みんながそれぞれ正直に自分が美人だと思った人に投票していれば、「多くの人の賛同を得た」という意味で客観的な美人を選ぶことができただろう。同様に株式市場でも、個々のトレーダーがファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)に関わる情報を地道に収集して投資判断をしているならば、株価は客観的な企業評価となり得る。トレーダーによる自己利益の追求が社会的に有意義な情報を生み出す、これこそ市場の情報集約機能である。ところが、奇妙な美人投票が示すように、市場の性能には若干の綻びがある。

注1 Maloney and Mulherin (1998), “The Stock Price Reaction to the Challenger Crash,” SSRN 141971.

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