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「この仕事は合ってません!」と1カ月で辞める新人の“事情”

まん延する「仕事探し」シンドロームの弊害

2012年5月10日(木)

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 また、新入社員が辞めてしまった。これで4人目である。といっても、私の部下の話ではない(っていうか、部下いないし…)。わずか1カ月ちょっとの間に、「新人が辞めた」という話を4回も聞いてしまったのである。

 1人目は、インタビューをさせていただいた方の会社で起こった出来事で、入社1週間目に「体調が悪い」と言ってきた後、連絡が途絶えて辞めた。2人目は旅行代理店に勤める友人の部署に配属になった新人が、「自分にこの仕事は合っていない」と言って、2週間目に辞表を出した。3人目は、以前仕事でお世話になった方の会社の出来事で、母親から「息子が思っていたような仕事ではないので、辞めてさせてください」と連絡があって、去っていった。

 そして、昨日4人目が現れた。

 「4月から25歳の男性を正社員で雇ったんですけど、『この職場では僕の個性が潰されるから辞めたい』と言ってきました。彼はうちの会社に来る前に、1年ほど別の会社にいたんです。基礎的なことはできるようだったので採用したんですけど、がっかりです。ここ5年間、この繰り返しです」

 こう嘆くのは、従業員80人ほどのIT関係の会社を経営する50代の男性である。

3年以内に35%が離職

 これまでにも入社したての新人君が辞めてしまうことに、苦悩する方たちの話は幾度となく聞いてきたけれど、今年はどういうわけか例年になく多い。いや、もちろんたまたま私が、そういう話を耳にする機会が偶然重なっただけ。そう、たまたま、の話だ。

 でも、政府が先ごろ開いた「雇用戦略対話」でも、ここ数年下げ止まり傾向にあった大学・専門学校の卒業生の3年以内の離職率が、35%になるとの推計値を公表している(2010年春に大学・専門学校を卒業し正規雇用で就職した56万9000人をベースに算出)。

 若者が3年以内に仕事を辞める傾向が高まっていることは、ここ数年問題視されてきたが、「このままいったら、3年以内で辞める大卒者の離職率は5割を超える」と危惧する声もある。

 は、早い。いくらなんでも早すぎる。

 「就職が厳しくて、そもそも入りたい会社じゃなかったから辞めるんでしょ」
 「だって時代がバブルってだけで入った使えない40代が山ほどいれば、イヤになるでしょ」
 「そうそう、働き損。能力がないのに高給を取ってるヤツラのために働くなんて、うんざりだよ」
 「最近は、最初からわざと厳しい状況に追いやって、音を上げた新卒を早めにふるいにかける会社も結構あるしね」

 確かに今の若者たちの置かれている状況は、恵まれているとは言えないかもしれない。今までのように「先輩たちと同じように働いていれば、将来どうにかなる」という世の中でもなくなってしまった現実もあるだろう。

 それでもやっぱり、さっさと辞めちゃうのはもったいない、と思うのだ。身体や心を疲弊させてまで頑張り続ける必要はないけれど、「仕事に合っていない」とか、「個性が潰される」っていう理由で辞めちゃうなんて。わずか1カ月月や2カ月で、合うも合わないもないでしょ。

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「河合薫の新・リーダー術 上司と部下の力学」のバックナンバー

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「「この仕事は合ってません!」と1カ月で辞める新人の“事情”」の著者

河合 薫

河合 薫(かわい・かおる)

健康社会学者(Ph.D.)

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調査研究を進めている。働く人々のインタビューをフィールドワークとし、その数は600人に迫る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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