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失業したら、パラサイトシングルも悪くない

米国で急増する「ブーメラン世代」の消費行動とリスク

2012年5月17日(木)

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 一億総中流と呼ばれた時代が終わり、日本の経済格差が注目されるようになって久しい。書店には、様々な角度から格差問題を論じた本が並んでいる。一番多いのは、派遣労働や生活保護などに代表される、いわゆる低所得者層あるいは社会的弱者をテーマにした本だろう。社会的弱者への配慮は大切であるが、そればかりに注目すると、格差問題が持つ様々な影響を過小評価してしまう。

 ラグラム・ラジャン米シカゴ大学教授は、著書『フォールト・ラインズ』(新潮社)の中で、米国発の金融危機の背景に、「所得格差の拡大があった」と論じている。低所得階層向け融資の拡大と証券化の組み合わせが、金融危機の一因であったことはよく知られている。しかもその債務不履行の可能性が高い低所得階層への貸し出しには、政府主導の側面があった。

 米国政府は、所得格差に対して教育や税制や再分配政策で対応する代わりに、政府支援機関を通じた安易な貸し付けの拡大に走った、というのがラジャン教授の主張だ。低所得者であっても、「夢の」マイホームを持つことができる。それは彼らが抱える現状への不満を、一時的に和らげる効果があったのである。

 このように経済格差は、それ自体が問題になるだけではなく、マクロ経済や政治的意思決定を通じて経済政策にも多大な影響を与える。ここでは、所得格差だけではなく消費格差も分析することで見えてくる事実ついて、マクロ経済的観点から考えていきたい。

臨時収入増と定期収入増を分けて分析

 経済格差がマクロ経済に与える影響を理解する上で鍵となるのが、ミルトン・フリードマンの「恒常所得仮説」である。学部レベルのマクロ経済学では、「消費は国民所得の関数であり、所得が増えると限界消費性向に応じて一定割合だけ消費も増える」と教えている。しかし、実際の消費者の行動はもっと複雑だ。

 例えば、宝くじで1万円当選した場合と、昇進をして月給が1万円増えた場合を考えてみよう。前者は一度きりの収入増であるのに対して、後者は恒常的に収入が増えている。前者で毎月の生活を変える人はいないと思うが、後者であれば、外食を増やしたり少し高めの家賃のマンションに引っ越したりする人も出てくるかもしれない。

 両者を区別するために、前者のような所得変動を一時的ショック、後者を恒常的ショックと呼ぶ事にしよう。もちろん、両ショックは所得を低下させることもある。フリードマンによると、消費者は一時的ショックと恒常的ショックを区別して、消費活動をする。これが「恒常所得仮説」である。

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「失業したら、パラサイトシングルも悪くない」の著者

山田 知明

山田 知明(やまだ・ともあき)

明治大学商学部准教授

2000年立教大学経済学部卒業。2005年一橋大学博士(経済学)。立正大学講師を経て2009年4月より現職。専門は定量的マクロ経済学、経済格差、社会保険。(写真:©都築雅人)

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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高坂 晶子 日本総合研究所調査部主任研究員