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「助けを求める部下」を上司は救えるのか?

働く人を追い詰める法律を作る懲りない面々

2012年5月17日(木)

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 「体が痛いです。体がつらいです。気持ちが沈みます。早く動けません。どうか助けて下さい。誰か助けて下さい」――。

 これは、4年前に自殺した26歳の女性会社員が、命を絶つ1カ月前の日記に書いていた言葉である。先週、NHKがこの女性の過労自殺に関するニュースを報じた。

 過労自殺そのものは、「残業が月間100時間を超えるなど過労が原因だった」として今年2月に神奈川労働局が認定し、様々なメディアが報じていた。その後に取材を重ねてまとめた詳細なリポートを、NHKが夜のニュース番組で放送したのである。

 内容を既にご存じの方もいるかと思うが、念のために概要を以下に記しておこう。

前向き故に完全な過剰適応に陥る

 「大手飲食店で働いていたこの女性が亡くなった当時、遺族は『長時間の深夜勤務や残業が続いたことが原因だった』として労災の認定を申請したが、平成21年(2009年)に横須賀労働基準監督署は仕事が原因とは認めず、遺族が神奈川労働局に審査を求めた」

 「これについて神奈川労働局の審査官は、『残業が1カ月当たり100時間を超え、朝5時までの勤務が1週間続くなどしていた。休日や休憩時間も十分に取れる状況ではなかったうえ、不慣れな調理業務の担当となり、強い心理的負担を受けたことが主な原因となった』として、2月14日付けで仕事の過労が原因による労災と認定した」

 前述した先週の放送では、
・この女性は入社当初、「いい人たちばかりで楽しそう!」とモチベーションを高めていた
・先輩社員から、「最初に大変な仕事をやった方が楽だから」と言われ、入社1週目からお刺身などを出す厨房を任され、苦悩していた
・1カ月の時間外労働は、過労死ラインといわれる月80時間を超える141時間にもなっていた
・休日には研修やボランティア活動が不定期に組み込まれ、休みがほとんどない状態だった
・自分自身で身体のしんどさを自覚し、訴えていた
・「未来が見えない」と不安を抱えながらも、「がんばれ! みんながんばってるじゃない」と自分を奮い立たせる努力をしていた
 というように、自殺に至るまでの女性の状況を、彼女の日記を基に報じていた。

 完全なる過剰適応。前向きで、真面目で、頑張り屋さんほど陥る現象だ。入社してすぐに厨房を任されたことは、想像以上に負担だったはずだ。お料理をする人なら分かると思うが、温かいものを温かく、冷たいものと冷たく出すには、仕事を首尾よくさばけるだけの料理の腕、ホールにいる顧客の状態を把握する力、そして、経験を通してしか会得できない「予測しながら動く」スキルが求められる。

 彼女の日記には、魚の盛り付け方などのイラストも描かれており、仕事が終わってからも一生懸命に勉強していた様子をうかがい知ることができた。

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「河合薫の新・リーダー術 上司と部下の力学」のバックナンバー

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「「助けを求める部下」を上司は救えるのか?」の著者

河合 薫

河合 薫(かわい・かおる)

健康社会学者(Ph.D.)

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調査研究を進めている。働く人々のインタビューをフィールドワークとし、その数は600人に迫る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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