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各国が露骨に国益を追求する「地政学の時代」に日本はどうする?

日本経済新聞社編集委員 鈴置高史さんに聞く朝鮮半島情勢【番外編最終回】

2012年5月18日(金)

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2012年は朝鮮半島を巡る情勢が急変することになりそうだ。韓国は大統領選を控え、与野党ともに左傾化傾向が強まっている。そして、北朝鮮は政権を握ったばかりの金正恩第1書記の下、ミサイルの発射に踏み切り、さらには核実験の実行までも懸念されている。米国や中国などの大国の論理に翻弄されてきたこの2国はこれからどう動くのか。日経ビジネスオンラインで「先読み 深読み 朝鮮半島」を連載中の、日本経済新聞編集委員、鈴置高史さんに聞いた。

池上:韓国では、総選挙がありました。なぜこの時期に、左派が伸びたのでしょうか。

鈴置:それはいい質問ですね(笑)。

池上:ああ、お株を奪われてしまいました(笑)。解説をお願いします。

鈴置:韓国では、なぜ、こんなに左派が強いのか――。今年4月の総選挙では中道保守の与党、セヌリ党が勝ったと報じられました。でも、事前の予想ほどには議席を減らさなかったということに過ぎません。議席数は162から152に減り、全300議席の過半数をかろうじて確保したにとどまりました。得票率でも保守・中道保守の合計と左派の合計は互角でした。

 さて、韓国で左派が驚くほどに力を持つ理由ですが、まずは日本とのアナロジーで説明できると思います。昭和30年代から40年代にかけて日本は「左」の時代だったと思います。「軍国主義はもうこりごり」という雰囲気が根強く、たとえば防衛大学校に進学する高校生は都市部では「少し変わった子」に見られたりもしました。旧軍部に対する反感から、誰が国を守っているのか現実をまっすぐに見る人が少なかったのです。もちろん、当時は左派の学生運動も盛んでした。

池上:そうですね。その時代の空気はよく覚えております。

昭和30年代から40年代の日本と同じ空気が

鈴置:韓国は1960年代初めから長い間、いわゆる「軍事独裁政権」下にありました。民主化宣言が出されたのは87年です。今もなお、軍事独裁政権時代への反発が色濃いのです。右寄りの発言をすると怪訝な目で見られる空気があります。

池上 彰(いけがみ・あきら)
ジャーナリスト1950年生まれ。慶応義塾大学経済学部卒業後、NHK入局。社会部記者として経験を積んだ後、報道局記者主幹に。94年4月から11年間「週刊こどもニュース」のお父さん役として、様々なニュースを解説して人気に。2005年3月NHKを退局、フリージャーナリストとして、テレビ、新聞、雑誌、書籍など幅広いメディアで活躍中。主な著書に『伝える力』(PHPビジネス新書)、『知らないと恥をかく世界の大問題』(角川SSC新書)、『そうだったのか! 現代史』(集英社)など多数。
(写真:丸毛 透、以下同)

池上:なるほど。今は2012年ですから、1987年からは25年が経っている。太平洋戦争が終わったのは45年で、その25年後は70年。70年と言えば、よど号ハイジャック事件が起きた年です。そう考えると、左翼にあらざれば人にあらずとでもいうような雰囲気が漂っているのは理解できます。

鈴置:軍事政権下での人権侵害は相当にひどかった。こいつは共産主義者だと思われたら捜査令状もなしで拘束され、拷問され、時には殺されました。家族も事実上、連座しました。左派と見なされた人々は家族も含め、今も怨念があって「強力なアンチ保守」を続けています。

 日本人は、韓国に親・北朝鮮の人々がいるという現実をなかなか信じられません。豊かな民主主義国の国民がなぜ、人権なぞかけらもなく、恐ろしく貧しい北朝鮮を支持するのか、理解するのは難しい。

 彼らは必ずしも北朝鮮の現状にシンパシーがあるのではありません。自分を拷問にかけた軍事政権の敵、つまり「敵の敵は味方」という心情によるところが多いと思います。

 韓国の持病たる激しい内部抗争は「左右対立」と呼ばれたりします。でもそう呼ぶから誤解を与えるのでしょうね。イデオロギー対立よりも怨念(おんねん)による対立と言った方が正確だと思います。

 私は韓国が民主化した1987年から5年間ソウル支局に勤務しました。当時から韓国の知識人は「対立は当分の間、続くと思う」と語っていました。「あなたの国、日本で例えれば、会津の人々が長州を少なくとも一世代は憎んだのと同じです」とも。

池上:なるほど。それは説得力がありますね。

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「各国が露骨に国益を追求する「地政学の時代」に日本はどうする?」の著者

池上 彰

池上 彰(いけがみ・あきら)

ジャーナリスト

1950年生まれ。慶応義塾大学経済学部卒業後、NHK入局。報道局主幹を経て、2005年3月よりフリージャーナリストとして活躍中。2012年4月から東京工業大学で東工大生に「教養」を教えている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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